先端技術を活用した流通・加工利用技術及び評価技術の開発

課題名 先端技術を活用した流通・加工利用技術及び評価技術の開発
課題番号 2012020435
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 五十部誠一郎
協力分担関係 茨城大学
大阪大学
岐阜大学
物質・材料研究機構
産業技術総合研究所
青森県産業技術センター・弘前地域研究所
全農
ホクレン
北柏リハビリ総合病院
アヲハタ株式会社
研究期間 2011-2015
年度 2012
摘要 農差物・食品の流通・加工工程の改善や開発に関しては、a)ダイコン、キャベツ等のバルクコンテナ(BC)物流における品質維持について検討し、ダイコンでは、BCへの充填方法をブロック積みから奇数段・偶数段の交互反転最密充填積みを採用することで、振動による損傷を段ボール箱におけるそれに対して同等以下に抑制できること、キャベツの場合、MA包装を施すことで、段ボール箱輸送と同等の品質維持が可能であることを明らかにした。またBCのコスト・CO2排出量は段ボール箱に比べて、導入する作物に応じて包装コストでは3~7割、温室効果ガス排出量では3~4割削減が可能であることを示した。b)輸出を想定した容器内のオウトウにかかる圧力を測定し、輸送時の損傷発生メカニズムの解明を行った結果、オウトウにかかる荷重は、ホールトレー内の位置により大きく異なることを確認し、輸送中のオウトウ損傷への対策を示した。c)中高圧処理を導入することにより、リンゴ、ウメの新しい加工技術に着手した。また、ピーナッツアレルゲンの簡易な精製法を開発し、更に、高圧力下での酵素処理により、常圧では分解されない断片までが分解されることを見出し、ピーナッツアレルゲンの分解に高圧力下での酵素処理が有効なことを示した。d)酵母を添加した味噌について各種プラスチックフィルムに試料を充てんし、外部の水を介して27MHz、2kWの短波帯交流電界を印加し、短時間での酵母が1/100,000以下に失活することを確認した。e)粉末食品の流動層造粒において、アクアガスをバインダとして用いることにより、従来の多糖類水溶液をバインダとして用いた場合と比較して、少ないバインダ添加量で顆粒が成長することが明らかになった。またバインダ添加量の削減により、造粒後の顆粒の乾燥時間の短縮が可能となることを確認した。f)機能性成分としてクルクミン類を豊富に含むウコンを中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(MCT)とともに磨砕処理することでクルクミン類を効率的に抽出できることを見出した。g)米粉の超微粉砕についてはジェットミルと湿式媒体攪拌ミルの組み合わせにより平均粒径がナノスケールの米粉を作製することが可能になったが、ナノスケールの米粉の粒度分布は計測条件により大きく変動することが判明した。h)マイクロチャネル乳化デバイスの耐久性向上のため、2種類のステンレス鋼(SUS)素材のマイクロチャネル乳化デバイスを開発した。i)成分ごとのナロろ過(NF)膜に対する透過特性の測定結果を基に、クランベリー果汁から安息香酸を精製(回分濃縮)する際の運転状況を濃縮係数(CF)から透過流束(Jv)を求める数学モデルを作成し、pH 2.5の限外ろ過(UF)処理クランベリー果汁12 LをNFT50膜により4 MPaの操作圧力で回分濃縮する場合、140分でCF=3.0となり、原料供給液中の安息香酸83%が透過液側に回収されることを明らかにした。j)麺用コムギの製パン性を向上させるために、ふすまの微細化が可能な微粉砕溝の設計及び微細溝切削技術の向上を図り、ふるいオーバー(目開き0.71mm)1g以下で毎時3kgの全粒粉製造が可能な業務用低温製粉装置を開発した。
先端技術を活用した新規評価手法や新規素材化技術の開発に関しては、
a)化学機器分析センターの機器を活用し、みつばちの共生微生物が産生する抗菌物質(畜草研)、リンゴの根に着生する紫紋羽菌の殺虫活性成分(果樹研)等の化学構造解析を行った。b)NMRを用いた代謝成分の網羅解析により、圃場栽培の病徴が観測される前のジャガイモの側枝から疫病抵抗性品種系統の識別マーカーの一つとして、L-リンゴ酸を同定した。酵素法による簡便な検出・定量でも判別可能であることから、病害抵抗性品種系統の識別方法として特許を出願した。c)米主要アレルゲンであるRAG2及びglyoxalase Iについて、リコンビナントタンパク質を得るための大腸菌を用いた発現系の条件検討を行い、25℃の培養条件でGST融合タンパク質が効率的に上清画分に得られることを明らかにした。d)牛の貧血診断を目的とした近赤外分光法によるヘマトクリット測定法開発において、Moving window(MW)回帰による有効波長帯の探索、サポートベクター回帰(SVR)による検量モデルの安定化について検討した結果、ヘモグロビンに由来する760 nmの吸収ピークはヘマトクリット診断には不要であることが判明し、また組織による光の散乱のため困難とされてきた非侵襲診断用検量モデルの構築に成功し、現場でのヘマトクリット診断の実用化に向けて大きく前進した。e)従来のローリングサークル型増幅法による特異的RNA検出技術の検出限界は10 9コピー/mLであり、微生物検出技術として適用するには感度が不十分と判断した。そこで大腸菌O157のベロ毒素mRNA(stx1、stx2)を対象として本法の高感度化に取り組み、反応溶液組成の最適化と検出用DNAプローブの2次構造制御によって対象RNAとプローブとの間での相補鎖形成を効率化した結果、本法の検出限界を106コピー/mLにまで高めることができた。f)食品素材のナノスケール構造解析についてトウモロコシでん粉を対象とした結果、同心円状の成長リング上にブロックレットらしき構造が存在することが判明した。g)ヌクレオチド-アントラセン複合体と鋳型DNAによる一次元集積化を行い、その構造を明らかにするとともに、一次元集積対中のアントラセンの光機能について蛍光分光法を用いて詳細に検討した結果、DNA鋳型によりアントラセンが精密配列し、エネルギー移動が可能であることが示唆された。h)新たに開発された単結晶シリコン製のナノテラスを用いて食品用素材のサブミクロンO/Wエマルションの光学顕微鏡観察法を開発し、特許出願した。このナノテラス法によって観察したサブミクロンエマルションの平均液滴径(球相当径)と変動係数の値は、レーザー回折式粒度分布計で得られる測定結果と同様であることを確認した。i)市販オレンジマーマレードを試料とし、甘味、酸味、苦味、カンキツの香りの数値化を検討し、フレーバー強度の時間的変化を数値化する官能評価系を構築した。j)平成23年度に確立したMultiple ESRスピントラップ法を嗜好飲料類(茶、コーヒー)と種々の野菜抽出液に適用し、4種の抗酸化能力のうちスーパーオキシドラジカルに対する抗酸化能力はアルコキシラジカルに対する抗酸化能力と相関することを見出したが、ヒドロキシラジカルに対する抗酸化能力はいずれとも相関しないことを確認した。
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