受精・妊娠機構の解明と調節による雌牛の繁殖性向上技術の開発

課題名 受精・妊娠機構の解明と調節による雌牛の繁殖性向上技術の開発
課題番号 2014025537
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 平子誠
協力分担関係 日産合成工業(株)
産業技術総合研究所
鹿児島大
各県公設畜産研究所
研究期間 2011-2015
年度 2014
摘要 発情微弱化要因の解明と発情発現の明瞭化方策に関しては、
a) 肉用繁殖牛への発情同期化は鈍性発情の防除対策として有効であり、被乗駕行動は暑熱や同期化方法の影響を受けず個体ごとに固有の発現パターンや持続時間を示すことを明らかにした。また、給餌する飼料により発情時の歩数を制御できる可能性を示した。加えて、発情開始直前にニューロキニン受容体作動薬を点滴すると、排卵を誘起するLHサージが大きくなり、受精卵の質が向上することを明らかにした。
b) 黒毛和種繁殖牛に対して分娩後40~60日頃(分娩後初回~2回次発情周期)に黄体ホルモン製剤(CIDR)を用いた発情・排卵誘起処置を行うと、約8割の牛で空胎期間が80日以下となり、全頭で空胎期間100日以下を達成できた。また、発情時の腟温変化は行動量や乗駕行動と相関が高く、無線式体温測定システムは発情発見に有効であること、加えて、受胎牛は不受胎牛より体温が高く、本システムが受胎判定にも利用できる可能性のあることを明らかにした。
妊娠維持機構の解明と妊娠のモニタリング指標の策定に関しては、新たな受胎性改善候補物質を見出し、その反応に基づく受胎性評価判別式を策定した。また、受胎性評価の指標であるオキシトシン感受性は分娩後の子宮機能回復指標としても利用可能であり、分娩後40日には子宮の機能回復が始まっていることを明らかにした。
黄体機能の賦活による受胎率向上技術に関しては、
a) ウシ皮下及び腟内へのウシインターフェロンτの投与は、黄体機能の維持には関与しないものの、それ以外の生体反応は惹起することを示した。
b) 栄養膜小胞作出後3時間の修復培養では、24時間の培養に比べて小胞の直径が小さく、凍結融解後の生存性が低下することを明らかにした。
抗酸化機能性物質等を活用した繁殖性改善技術に関しては、
a) 分娩後3日の初産牛に市販のビタミンAあるいはE製剤を単回給与すると、いずれも早期に排卵するが、発育する卵胞はビタミンAの方がビタミンEより多く、また大きくなることを確認した。
b) 周産期の経産牛に日量10gのラクトフェリンを給与すると、泌乳最盛期(濃厚飼料多給期)のルーメンエンドトキシン活性の増大が抑制され、微生物タンパク質合成量が増加し、肝機能と免疫機能が正常に保たれることを明らかにした。また、妊娠早期の子宮内に存在するラクトフェリンは子宮内膜由来であり、胚はラクトフェリンを生産していないことを明らかにした。
c) 泌乳中後期牛への日量10gの活性型酵母の給与は、ルーメン内微生物構成を変化させ、エンドトキシンの発生源となる主要なグラム陰性菌が減少し、繊維分解菌が増加することを明らかにした。
d) 胎盤剥離を誘導する12-オキソアラキドン酸は、栄養膜細胞ではなく線維芽細胞から供給される可能性が高いことを示した。
カテゴリ 育種 機能性 飼育技術 受胎率向上 繁殖性改善 防除 モニタリング

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