生殖工学を用いた有用家畜作出技術の開発

課題名 生殖工学を用いた有用家畜作出技術の開発
課題番号 2014025538
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 下司雅也
協力分担関係 (独)家畜改良センター
ベルギーヘント大学
ハンガリーNARIC
東京農業大学
神戸大学
生物資源研究所
研究期間 2011-2015
年度 2014
摘要 遺伝子発現やエピジェネティクス情報等を活用したクローン胚等の品質評価法に関しては、
a) 用いる内在性コントロール遺伝子により同一のウシ核移植胚に由来する割球分離胚間でOCT4遺伝子発現量が異なる例が認められることから、遺伝子発現量の比較のための内在性コントロール選択の重要性を明らかにした。
b) レシピエント卵子の成熟培養時間が17時間より長くなると除核成功率が低下することを明らかにした。
c) ウシ単為発生由来胚盤胞期胚は、みかけ上体外受精由来胚と相違ないが、細胞死に関連するTP53、LC3A、MnSOD、mtDNA増幅に関連するmtTFA、X染色体不活化に関連するXIST遺伝子の発現量が体外受精由来胚に比べて高くなることを明らかにした。
個体への発生能の高い生殖細胞の生産に関しては、
a) 初期化6因子(OCT4、KLF4、SOX2、c-MYC、LIN28、NANOG)の合成mRNA導入により、高率にブタES/iPS様細胞株が樹立できること、卵母細胞の成長・成熟にはStat3が重要な役割を担うこと、マウスES細胞はニワトリ胚に取り込まれてキメラ胚を形成することを明らかにした。
b) マウス胎児の卵巣を器官培養し、始原生殖細胞の段階から卵母細胞を発育させて胚を作出することに成功し、生殖細胞の発生段階を一貫した体外培養で実現できることを明らかにした。
c) ポリビニルピロリドン添加培養液では、細胞外マトリックスや細胞分化に関わる遺伝子の発現が影響を受けていることを遺伝子オントロジー解析によって明らかにした。さらに、従来よりも組成の明らかなウシ卵母細胞の体外発育用培養液を開発した。
d) ブタ体外成熟培養時の裸化卵子の追加添加は、卵子を除去した卵丘細胞の膨化を促進するが卵丘細胞卵子複合体の卵丘細胞膨化には影響しないこと、また、丘細胞卵子複合体の成熟率・受精率・胚盤胞期への発生率・細胞数には影響を与えないことを明らかにした。
個体への発生能の高い胚の生産に関しては、
a) ウシ性選別精子は通常精子に比べて体外受精後の胚発生能が低いこと、より高い胚発生能を有する胚の非侵襲的な選抜項目として第1卵割終了時間とその形態が利用できることを明らかにした。
b) ブタIL-6R及びgp130遺伝子のリアルタイムPCR定量系を構築した。ブタ初期胚での遺伝子発現解析から、培養液へのIL-6添加は、IL-6R及びgp130を介し胚発育を調節し、胚盤胞の細胞増殖及び孵化促進作用を発揮することを明らかにした。
c) トリプターゼは、ブタ胚に発現する受容体を介して栄養外胚葉の増殖を促進することにより胚の孵化を促進し、胚移植後の産子数を増加させる可能性があること、lipid-rich BSAは、胚のエネルギー産生を亢進することでブタ胚盤胞の孵化を促進していることを明らかにした。
d) 生体内卵子吸引技術をブタに応用するため、体外生産における培養密度、卵子吸引圧などを検討し、至適条件を得た。生体内卵子吸引・体外生産により得られたブタ胚をレシピエントに移植し、子豚の生産に成功した。
e) TUNEL陽性精子率は、同じ種雄牛で変動しうること、精液の凍結もしくは液状保存により高くなることから、精液の品質を評価する上で有用な情報を提供することを明らかにした。
長期保存技術に関しては、ブタ未成熟卵子のガラス化保存において、エチレングリコール、プロピレングリコール、スクロース添加ガラス化液の利用が低コストかつ生存性が高まること、液体窒素中での保存期間は生存率等に影響しないことを明らかにした。
カテゴリ 育種 飼育技術 長期保存・貯蔵 低コスト 繁殖性改善 評価法

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