高商品性リンゴ等品種の育成と省力生産技術の開発

課題名 高商品性リンゴ等品種の育成と省力生産技術の開発
課題番号 2014025554
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 阿部和幸
伊藤祐司
協力分担関係 生物研
宮城県農業・園芸総合研究所
弘前大
岩手農研
研究期間 2011-2015
年度 2014
摘要 着色性、病害抵抗性等が優れ、良食味の育成に関しては、
a) 5系統について特性と地域適応性を把握するため、全国での試作試験を行った。
b) カラムナータイプの良食味系統である「盛岡74号」など3系統をリンゴ第6回系統適応性検定試験追加供試系統として選抜した。
c) 高着色性、カラムナー性、黒星病抵抗性等の品種を育成するため、30組合せの交雑により613の交雑果を獲得した。また、果皮色、カラムナー性等に関するDNAマーカーを用い、前年度に獲得した2,519個体から1,107個体を幼苗選抜した。さらに、交雑実生1,296個体から良食味の6個体を一次選抜した。
d) リンゴのカラムナータイプを支配する遺伝子Coが座乗する領域に特異的なDNAマーカーを用いることで、カラムナータイプ個体を迅速かつ正確に選抜できることを示した。
e) リンゴの自家和合性を支配する花粉側S遺伝子候補であるF-box遺伝子が少なくとも11タイプ存在することを明らかにした。
f) 挿し木発根性が良好で根頭がんしゅ病に抵抗性を示す台木を7個体一次選抜した。
g) リンゴ台木のわい化性を支配するQTLの一つであるDw1について、わい性台木「M.9」の後代の台木群における遺伝子型とわい化性の関連性を検討し、Dw1がわい化性の発現に必須であることを明らかにした。
リンゴの着色・着果管理等の省力・軽労化を図るための摘葉技術等の要素技術の開発に関しては、
a) リンゴ果皮の着色能力評価システムを確立し、高着色品種の「あかね」と「秋映」では、高温下でも収穫期におけるアントシアニン蓄積能力が高いことを明らかにした。
b) 効果的な摘葉剤利用技術を開発するため、果実の糖度を下げずに着色を向上させるには、葉摘み後の樹全体の葉果比を60程度とすることが有効であることを明らかにした。
c) 「ふじ」及び「つがる」では、摘花剤と摘果剤を併用することにより、摘果に要する作業時間を人手のみの場合に比べて2割以上削減しつつ果実重をより大きくすることができることを明らかにした。
d) リンゴの自家摘果性品種は、通常の摘果期間内で、主要な栽培品種より40%広い面積を摘果できることを明らかにした。
e) 花成を抑制するMdTFL1遺伝子を抑制するサイレンシングベクターを構築してリンゴに導入し、花成・開花促進個体を作出した。
f) 「つがる」由来のアントシアニジン合成酵素遺伝子ANSのプロモーターにGUS遺伝子(β-グルクロニダーゼ遺伝子:プロモーターの活性測定に利用)を連結し、これを導入した形質転換体を継代した。さらに本形質転換体を用い、照度を2,000luxから6,000luxに上げるとアントシアニンは形成されるがANS遺伝子のプロモーターの活性は上昇しないことを明らかにした。
このほか、
a) ブルーベリーについて、一次選抜した3系統のうち、2系統は耐寒性が比較的高く、果実品質も良好であったが、残りの1系統は寒風害による花芽の枯死が著しく、耐寒性が劣ることを明らかにした。
b) ブルーベリーの良食味品種「あまつぶ星」の耐寒性等を向上させるため、6組合せの交雑を行い合計121の交雑果を獲得した。
c) ブルーベリーの交雑実生153個体の果実特性を調査して、果実品質の良好な1個体を注目個体として選抜した。
d) セイヨウナシの第2回系統適応性検定試験に供試する3系統を圃場に定植した。
e) セイヨウナシについて、大果で高品質な品種の育成を目的に6組合せの交雑を行い、合計1,309の交雑種子を獲得した。また、前年度に獲得した交雑種子から交雑実生218個体を得た。
カテゴリ 黒星病 軽労化 栽培技術 挿し木 耐寒性 台木 DNAマーカー 抵抗性 病害抵抗性 品種 ブルーベリー 良食味 りんご わい化

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