有機農業の成立条件の科学的解明と栽培技術の体系化

課題名 有機農業の成立条件の科学的解明と栽培技術の体系化
課題番号 2014025570
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 三浦重典
中山壮一
協力分担関係 福島県
島根県
新潟県
岐阜県
琉球大
弘前大学生命学部生物資源学科
鹿児島県農業開発総合センター
長野県野菜花き試
秋田県立大
研究期間 2011-2015
年度 2014
摘要 水田作、畑作における有機輪作モデル体系の構築に関しては、
a) 高精度水田用除草機と米ぬか散布を中核技術とする水稲の有機栽培体系を提示した。本体系により、雑草が顕著に抑制されることを現地試験により実証した。なお、収量は慣行栽培の91%であった。
b) 有機米の流通における多様な流通チャネルの存在とチャネルごとの生産者の取り分及び経費・リスク負担について分析するとともに、現地実証経営の有機米販売・流通に関するバリューチェーン分析を行い、事故発生や売れ残り、精米・出荷部門の投資負担増等の問題点・リスクを摘出した。
c) 有機ダイズ栽培においては、晩生で小粒の品種を選択し、関東地域では慣行よりやや遅い7月初~中旬に播種、8月中~下旬に開花期を迎える栽培体系により虫害等が抑制されて収量性が高まることを明らかにした。
d) そうか病を抑制する効果が知られている米ぬかの施用は、ジャガイモ根圏でグラム陽性細菌類を大きく増加させることを示した。
e) 春どり作型レタスのトンネル栽培では、紫外線除去機能を有するフィルムを被覆に用いることで菌核病の発生を軽減できることを明らかにした。
有機農業の生産技術体系の構築に関しては、
東北地域の水稲作では、
a) 東北日本海側において、チェーン除草と生育診断に基づく追肥を含む体系により坪刈りで560kg/10a以上の収量を3年間にわたり実証するとともに、60kg当たり生産費(平成26年産)が慣行栽培(対象経営と同規模層の東北平均)比で122%であり、3割高以内となることを実証した。
b) 東北太平洋側において、開発した実証体系により農家の従来の有機栽培体系を上回る玄米収量を得たが、水田内の枕地に移植しなかったこと等により全刈り収量は343kg/10aで、60kg当たり生産費は慣行栽培比(対象経営と同規模層の東北平均)で162%となった。
南九州地域の畑輪作では、
a) ダイコン-サツマイモの有機畦連続使用栽培体系について、3年間の現地実証試験でサツマイモ、ダイコンともに慣行栽培と同等以上の収量が得られることを明らかにした。対象経営における慣行のサツマイモ単作と比較して、生産費は同等以下で、土地生産性は52%、労働生産性は19%高い結果を得た。
b) 畦連続使用及び早期畦立てでは、サツマイモ植付時の畦上層部の線虫密度が低下し、線虫害も抑制されることを確認した。
c) 所内有機圃場、現地実証圃場のいずれにおいても線虫抑制作物クロタラリアを組み入れた有機葉茎菜類体系では、ラッキョウ、ホウレンソウ、サツマイモ(コガネセンガン)の全栽培期間でネコブセンチュウ密度が低く維持されることを示した。
有機農業の持続性評価手法の開発に関しては、
a) 水稲作、畑作、野菜作に関する農業生産プロセス、関連する農業投入財製造プロセス等のモジュールを作成し、LCAソフトウェア上の農業LCIデータベースに組み入れた。有機肥料のインベントリデータを利用して、化学肥料、高窒素鶏ふんペレット、低窒素鶏ふん堆肥と肥料の種類が異なる水稲栽培の環境影響を比較した結果、高窒素鶏ふんペレット肥料の利用により慣行並みのライフサイクルGHG排出水準が実現できることを示した。
b) 水稲・ムギ・ダイズからなる有機と慣行の輪作体系における単位面積当たりの環境影響と生産性及び経済性との関係を評価した結果、環境影響と生産性の間にはトレードオフの関係があるが、環境影響と経済性ではフロンティアの交差がなく、同じ収益でみると有機栽培で環境影響が小さいことを示した。
カテゴリ 病害虫 肥料 土づくり 有機栽培 有機農業 経営管理 栽培技術 栽培体系 雑草 出荷調整 除草 除草機 水田 だいこん 大豆 データベース 播種 ばれいしょ 品種 ほうれんそう らっきょう 輪作 輪作体系 レタス

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