課題名 | セルロース系バイオマスエタノール変換の高効率・簡易化技術の開発 |
---|---|
課題番号 | 2014025600 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
徳安健 |
協力分担関係 |
JIRCAS 北海道大学 岩手大学 龍谷大学 京都工芸繊維大学 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 未利用、低利用のセルロース系バイオマスの原料特性評価と粉砕・前処理技術の最適化に関しては、 a) 育種素材としてのセルロース系資源作物茎葉部粉砕物(146試料)について、水酸化カルシウム前処理の適用性を解析するための簡易法を開発し、グルカンの可溶化率・糖化率、キシランの可溶化率・糖化率を求めることで、多様な原料の変換特性を解明した。 b) 疎水性吸着剤を用いたフェノール酸の吸着特性や溶出液による脱着特性を解明し、エタノール水溶液を用いた脱着後に濃縮・再結晶を行うことで粗結晶を得た。また、エタノール蒸留残渣を固液分離した後の液相について成分を解析し、プラントで利用できるメタン発酵時に発生する糖化残さ分のガス化量を明らかにした。 c) コマツナ、ケール、サツマイモ葉、ダイコン葉などの葉物野菜を中心とした粉末化素材23種及び北農研・芽室研究拠点で栽培したテンサイの収穫時の葉を使用し、高い機能性と市場価値が期待されるグルコシルセラミド及びα-リノレン酸の含有量を定量し、機能性原料として有望なことを明らかにした。 革新的要素技術開発に関しては、 a) 高温耐性能と相関がみられる発現様式を示す遺伝子FMP21をセルフクローニングにより過剰発現させた出芽酵母実験室株は、高温下において野生型株よりも生育速度が速いことを確認した。 b) 繊維質の糖化液を基質としてキシロースイソメラーゼを用いた同時異性化発酵時には、37?Cまで発酵温度を上げてもエタノール生産量の低下は見られなかったが、40℃では発酵阻害を確認した。グルコースとキシロースを基質とした培地を用いた場合には40℃で発酵阻害を確認した。 c) Trichoderma reesei M2-1株を、グルコース、セロビオース、キシロース及びアラビノースの混合液を用いて20日間程度の半連続培養に供し、セルラーゼ生産効率が高いレベルで安定することを確認した。また、培養期間中に糖液組成を変化させることで、酵素組成を調節できることを明らかにした。 d) ショ糖及びセロビオースを含む糖液にインベルターゼを添加し、25℃で前処理したものを供給糖液として用いることで、セルロースを気質としたバッチ培養時にの生産効率と同等の270 FPU/g-炭素源のセルラーゼ生産効率を得た。 e) 酵素を用いて草本茎葉等から糖液を製造するCaCCOプロセスによる湿式粉砕処理稲わらのCaCCO処理物に対して、市販セルラーゼ製剤を用いた加圧糖化を行った結果、3回の繰り返し糖化における所要酵素量は、酵素の単回使用時と比較して半量に抑制できた。 f) 嫌気性高度好熱性細菌Caldicellulosiruptor besciiがバイオマス分解時に細胞外に分泌する新しい植物細胞壁結合タンパク質PWBP57の役割を調べるため基質への結合特性を解析した。このタンパク質は、非結晶性のセルロースに最大量結合し、結合親和性(結合定数Ka)は牧草(チモシー)細胞壁に対して最も高い値を示した。水溶性基質に対しては、ペクチンやキシランに強く結合することを確認した。 副産物のカスケード利用技術の導入等に関しては、稲わら及びエリアンサスを原料とし、ベンチプラント装置を活用したエタノール製造までの一貫試験を通じてマテリアルバランスシートを作成し、原料乾物あたりのエタノール収量を求めることでコスト計算や原料特性の評価のためのデータを取得した結果、原料費に加えて、前処理工程、残さ処理、副産物利用工程等における効率化が必要であることを明らかにした。 このほか、 a) グルタチオン産生酵母(Candida utilis)の培養試験を行い、CaCCOプロセス糖化液中に可溶化された六炭糖及び五炭糖の単糖のみならず、それらのオリゴマーも代謝し、菌体バイオマス及び菌体内グルタチオンを生産することを確認した。 |
カテゴリ | 育種 機能性 ケール 高温耐性 コスト ごま こまつな だいこん てんさい 未利用資源 |