地下水位制御システムを活用した温暖平坦地向け水田輪作システムの確立

課題名 地下水位制御システムを活用した温暖平坦地向け水田輪作システムの確立
課題番号 2015027765
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
協力分担関係 三重大生物資源学部
三重県農業研究所
岩城営農組合
サンフレッシュ海津
長崎県農林技術開発センター
長野農試
富山農試
山口大
九州大
北海道
研究期間 2011-2015
年度 2015
摘要 不耕起や浅耕播種技術とFOEASを組み合わせた2年4作、3年5作体系の開発に関しては、
関東地域において、
a) 作業幅2.4mの大型のディスク作溝式不耕起播種機を開発し、現地実証において作業速度は5km/h、作業能率は10分/10a以内の高能率であることを明らかにした。現地営農に適用し、水稲乾田直播で723㎏/10a、コムギ473㎏/10a、ダイズ257㎏/10aの収量を得た。耐久 性等の確認の後、メーカーより市販の予定である。
b) 水稲の播種時期に対する生育と収量の品種特性を検討したところ、栄養生長期間は作期が遅いと短くなり、その短縮程度は極早生 品種より中生品種で大きかった。「あきだわら」と「ほしじるし」の関東地域における標準的な施肥条件では、5月上旬までの直播、5月中旬までの移植により収量600kg/10aを得ることが可能であることを明らかにした。
c) 水田転換畑のパン用コムギ「ゆめかおり」栽培において、同じ追肥窒素量では、追肥の開始時期を分げつ始期からとするよりも茎 立期からとした方が、施肥効率が高くて多収となることを明らかにした。また、パン用コムギ「ユメシホウ」及び「ゆめかおり」の品種特性と栽培方法に関するマニュアル、ダイズ不耕起狭畦栽培マニュアルを作成した。
d) ダイズの湿害軽減技術について、畦間サブソイラとチアモトキサム・フルジオキソニル・メタラキシルM水和剤の併用は不耕起栽培の苗立ちの安定化に有効であること、減収リスクの低い圃場における無基肥栽培の不耕起栽培を安定化でき、基肥無施用を2作継続し ても土壌養分や収量に対する影響は小さいことを明らかにした。
e) 不耕起播種機を用いた現地の5年7作輪作体系では、10a当たり労働時間は地域平均から60%削減を達成した。一方、60㎏当たり全算入生産費は、多収を得た平成26年は地域平均から42%削減したが、平成27年度は低収量のため34%の削減にとどまった。
f) 乾田直播では、難防除雑草のない圃場の場合、事前耕起と整地、不耕起播種機による播種後の強鎮圧と土壌処理剤の使用で、茎葉 処理剤を3回使用する慣行防除体系に比べて除草剤使用量を約6割削減できた。
g) 水稲乾田直播-コムギ-ダイズ-オオムギの2年4作体系において、ダイズ後のオオムギ播種は、作業性の高い不耕起播種によりコ ムギ播種との作業競合を回避できることを確認した。オオムギ茎立期に水稲を播種する間作体系に不耕起播種機を利用することで、30cm条間への播種が可能であることを明らかにした。また、ダイズの無施肥、水稲の無リン酸・無カリ栽培でも、コムギへの熔リン施用とコムギ・オオムギへのカリの追肥により、コムギ、オオムギ、ダイズ及び水稲の収量は慣行施肥体系と同等となることを明らかにした。
東海地域では、
a) コムギ品種「さとのそら」を供試して、小明渠浅耕播種による畝立て栽培と生育後期重点施肥により収量が590kg/10aまで向上することを現地試験で実証した。さらに事前に深耕を行うことで収量性を高めることが可能であることを実証した。また、コムギの窒素追肥時期に関係する節間伸長開始期を簡便に推定する指標を開発した。
b) 3年5作の水田輪作体系に関し、平成22年~平成27年の累積データに基づく生産費の評価から、3年5作体系の60kg当たり費用は平成20年比で32~43%の削減であることを明らかにした。
合理的な資材の投入による土壌管理技術及び雑草管理技術に関しては、
関東・東海地域において、
a) 水稲-コムギ-ダイズ-オオムギの2年4作体系において、ダイズの無施肥、水稲の無リン酸・無カリ栽培でも、コムギ播種前の熔 リンの追加施用により土壌の可給態リン酸が一定に維持されること、一方で交換性カリはやや低下傾向で、コムギ・オオムギへのカリ追肥を検討する必要があることを明らかにした。
b) ダイズ播種後の土壌処理剤は効果が高く、適期に雑草発生状況から防除判断をすることで、茎葉処理剤を削減できる事例が得られ た。一方、土壌処理剤を削減すると、その後の茎葉処理剤の効果の変動によって雑草防除が困難になるリスクが高くなることを明らかにした。
c) ダイズ作における主要な雑草の防除判断のタイミングと観察ポイントを明らかにした。難防除雑草のクサネムが発生している圃場 でも4年間の徹底防除と不耕起栽培の導入、ダイズ2葉期の茎葉処理剤の散布等合理的な資材投入により、ダイズ生育期の除草剤を慣行に比較して6割程度削減できる防除体系を例示するとともに、そのリスクの評価も加えた雑草防除支援システムを開発した。
このほか、
a) リモートセンシングに関して、センシング情報から土壌腐植含量、コムギ茎立期の地上部乾物重と茎数を推定できる見通しを得た 。また、簡易空撮画像でコムギの植被率の推定ができ、生育の異なる圃場間で追肥量を調整することで、タンパク含量の圃場間のばらつきが低減できることを確認した。
カテゴリ 病害虫 FOEAS 乾田直播 管理技術 狭畦栽培 雑草 湿害 除草剤 水田 施肥 センシング 大豆 低コスト 土壌管理技術 土壌処理 難防除雑草 播種 品種 不耕起栽培 防除 リモートセンシング 輪作 輪作体系

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