課題名 | 環境負荷の低減及び農業生産資材の効率的利用に資する農業機械の開発及び試験評価の高度化 |
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課題番号 | 2015027887 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
協力分担関係 |
九州工業大学 産業技術総合研究所 (株)ササキコーポレーション (株)クボタ (株)サナース (株)フェニックス 福島県相馬郡飯館村 ヤンマー(株) 島根県農業技術センター みのる産業(株) |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | 高性能・高耐久コンバインの開発では、脱穀機構が異なる2型式(バーツース方式、ドラムツース方式)のコンバインを試作してコムギ、水稲、ダイズの収穫試験を行い、試作機の基本性能を把握するとともに、次期試作に向けた改良の指針を得た。 農業機械の電動化技術の開発では、電気を全駆動源とする乗用型電動ロータリ耕うん試作機を製作して耕うん試験を行い、ロータリ耕への適応できる見通しを得るとともに車両小型化の可能性を確認した。 田植機植付部電動化に関しては、平成25年度に完了した。 エネルギー植物の収穫・運搬・貯蔵のための機械に関しては、平成23年度に完了した。 籾殻燃焼バーナーの開発では、30~40ha規模のライスセンターに適用可能な1号機を試作して燃焼試験を行った結果、乾燥機への熱風 供給が可能な範囲で温度制御が行え、設定温度で安定燃焼し、80%以上の熱効率が得られた。 小型ケーンハーベスターの裁断性強化に関しては、平成23年度に完了した。 バイオエタノール一貫生産システムに関しては、平成25年度に完了した。 触媒反応による加熱や籾がら燃焼等を活用した新乾燥技術では、30~40ha規模のライスセンターに熱風供給ができる籾殻燃焼バーナー1号機を試作し、燃焼試験を行って基本性能を把握した。 中山間地域に存在する自然エネルギーの利活用について、地中熱や水熱源ヒートポンプシステムを導入している園芸施設で調査を行い、導入効果の確認と問題点を抽出するとともに、地中熱あるいは温泉排湯を熱源とした暖房基礎試験を行って熱利用効果を評価した。 ブームスプレーヤーの振動制御技術に関しては、平成25年度に完了した。 能率的作物生育観測技術に関しては、平成25年度に完了した。 物理的防除技術を用いた病害虫防除機では、イチゴ栽培ハウス内で超音波発振器を固定してイチゴに超音波を継続的に照射し、イチゴ果実のうどんこ病発果率を調査した結果、超音波処理区において発病が抑制されることを明らかにした。 微生物活性を高度にコントロールする生物脱臭装置では、現地に設置した微生物環境制御型脱臭システムの連続運転を行った結果、16ヶ月の使用後も脱臭性能は維持できたが、脱臭層目詰まり防止対策について、改善する必要性を確認した。また、ランニングコストの主な項目を特定し、冬季に発生する余剰循環水の肥料原料への転用の可能性を明らかにした。 尿汚水の液肥化技術に関しては、各種液肥施用方式を比較した結果、作業能率や夾雑物による管路の詰まりの点から衝突版式が優れたが、作業行程全体の最適化を図ることで、悪臭低減効果の高い新たな施用方法が開発できる可能性を得るとともに、少量のサンプルで臭気濃度を測定する方法を明らかにした。 農業機械・資材へのバイオマス由来素材の利用に関する基礎的研究では、固化剤による培地固化作業と市販固化培地の問題点を検討・ 整理するとともに、バイオマス由来高分子であるタマリンドガムをバインダとして用いることで市販培土を固化する方法を見出した。 このほか、 a) 大ロット肥料体系の確立に向けた実態調査では、現地調査により大ロット肥料体系とすることで、作業機への肥料供給時間や補助 者の作業時間を現行の1/3程度に短縮できることを明らかにするとともに、北海道以外の地域での同体系の確立に向けて新たな機械開 発のニーズを明らかにした。 b) 高能率水田用除草装置の実証試験では、開発した装置を用いて実証試験を実施し、作業速度及び除草効果の観点から本装置の有効 性を確認するとともに、移植時の苗の大きさ、除草時期等について、本装置の適正な使用方法を明確にした。 c) 新規需要米の省エネルギー・低コスト乾燥技術の研究では、高温乾燥試験を行った結果、熱風温度70℃以上で標準乾燥(40℃)に 比べて3倍以上高速に乾燥することができ、市販機に若干の改造を加えるだけで、飼料用米を高能率・低コストに乾燥できる可能性を 明らかにした。 棚用果樹の低騒音・低ドリフト防除機に関しては、平成23年度に完了した。 農薬を使用しない高能率水稲等種子消毒装置の高度利用に関する研究では、水稲種子の複合防除について、温湯消毒でも有効な打開策が見出せていないばか苗病に対して、浸種・催芽中の促進酸化処理の有効性を明らかにし、新たな防除法についての技術シーズを見出した。さらに、ムギ類種子への適応性拡大に向けた問題点を把握するとともに装置の改良を行った。 作業・生産履歴等に基づく営農支援と消費者への情報発信に資するシステムでは、収穫情報測定部の出力と位置情報を同時に記録できるように改造した収量コンバインを供してコムギ及び水稲の収穫試験を行い、刈り取られた穀物が脱穀を経て収穫情報測定部に到達するまでの時間遅補正により刈り取り開始・終了、刈り幅の推定ができる見込みが得られた。さらに、8台のトラクタについて稼働状況 記録装置による記録を継続実施するとともに、情報交換に利用する共通フォーマットとして中央農研が定義した「FIX-pms」を選択し 、データ交換機能のFARMSへの実装に着手した結果、汎用性を考慮しつつ新たに定義する必要性がある旨の知見を得た。 携帯型植物水分情報測定装置に関しては、平成25年度に完了した。 タイヤに付着した土壌による路面汚染を軽減する技術では、履帯表面の除泥を目的として、履帯を空転させることで付着土壌を剥離する履帯空転方式の除泥装置を試作し、土性の異なる2ヶ所の湿潤なほ場で効果を確認した結果、除泥率はいずれも90%を超え、シルト 質埴土のほ場では99%でほぼ全ての付着土壌を落とすことを確認した。 このほか、 a) 高濃度汚染地域における農地土壌除染技術体系の構築・実証(農地土壌除染技術)-農地除染用機械を用いた除染技術に関しては 、平成26年度に完了した。 b) 高濃度汚染地域における農地土壌除染技術体系の構築・実証(果樹園・茶園の除染技術)-機械を用した剥土による土壌除染技術 、せん定枝の粉砕搬出技術関しては、平成26年度に完了した。 c) 除染関係-農作業時の被曝低減に向けた指針の作出では、実用化された表土削り取り機の導入現地における稼働状況を調査し、開 発機は所定の性能を発揮し、従来よりも効率的な表土削り取り作業の実現に寄与していることを確認した。さらに、ほ場試験を行って適用するトラクタの必要馬力及び円滑な作業行うための土壌水分条件等を明らかにした。 トラクタ作業、コンバイン収穫、穀物乾燥などの圃場管理の基本的作業における省エネルギー評価手法では、乗用トラクタでは、現在の評価試験方法(TC)を20PS級及び60PS超級へ適応拡大するため圃場試験を実施し、推定値と実測値の差は概ね5%以内となること及 びけん引燃費テストコードが適用できることを確認した。乾燥機においても、現在のTCの試験条件拡大のため高水分籾を供した乾燥試験を実施し、供試籾水分を適正に把握する手法等の問題点を明らかにした。自脱コンバインでは、新たなTC作成を目的として、直進刈取・旋回・移動・排出の各作業における燃費算出及び補正方法と、30a収穫燃費算出方法を作成した。 排ガスの評価手法に関しては、平成25年度に完了した。 |
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