課題名 | 国際重要伝染病の監視及び制御技術の高度化 |
---|---|
研究機関名 |
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生部門 越境性感染症研究領域 |
協力分担関係 |
民間(2) (一社)日本養豚開業獣医師協会 JA全農 独法・国研等(11)(うち国外11) 名古屋大学 筑波大学 |
研究期間 | 2016-2020 |
年度 | 2020 |
摘要 | 口蹄疫ウイルスの抗原変異株に対応可能な単クローン性抗体を新たに選抜して血清型 O に対する抗原診断法を開発し、類症鑑別の際に問題となる豚水胞病、水胞性口炎及びセネカウイルス病の全ゲノム解析法を確立した。欧州の研究機関からアフリカ豚熱(ASF)ウイルス 3 株を導入し、また、ウイルスの塩基配列を改変可能なリバースジェネティクス法の基盤整備が完了した。さらに、ASF の病態解明と感染モデル探索のため、イノシシ間及びイノシシと豚間での伝播試験、幼若豚、マウスを用いた感染試験、弱毒株を用いた豚感染試験を実施した。豚の抗口蹄疫ウイルス剤の評価を行い、ウイルス接種 6 時間後投与によりウイルス血症やウイルス排泄を抑制することを明らかにした。また、創薬ライブラリーのスクリーニングによって口蹄疫及び ASF に対して抗ウイルス活性を持つ化合物を選抜した。乳飲みマウス、妊娠豚、豚及びイノシシを用いて口蹄疫の感染動態を明らかにした。この他、豚熱について、イノシシに対する経口ワクチンの有効性を検証し、また、ワクチン株と流行株を識別するリアルタイムPCR 法を確立した。さらに、家畜保健衛生所で用いられる豚熱遺伝子検査法の精度を改善し、国の指針に採用された。 H5 亜型高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルス海外流行株を導入し、現行の検査法の有効性を検証した。また、国内で流行している豚インフルエンザウイルスを収集し、分離ウイルスの全ゲノム解析を行った。イムノクロマト法の開発に向けて、作製した単クローン性抗体の特異性を確認した。HPAI ウイルスの生態及び宿主応答を解明するため、感染実験によりマガモ間でウイルスが 100%伝播すること、感染マガモの気管における遺伝子発現量について 1個体あたり約 17,000 遺伝子、計 9 個体分の定量が完了した。組み換えベクターワクチンについて抗原性の違いによってワクチン効果の減弱が認められたため、抗原遺伝子の入れ替えが容易なベクターを作製した。豚インフルエンザワクチンについて試作不活化ワクチンを作製するとともに、防御効果試験の準備として抗原性の異なる株の豚での増殖性を確認した。インフルエンザ抵抗性鶏系統については、抵抗性個体と感受性個体感での腸内菌叢に有意な差がないことを明らかとした。その他、11 月に発生した令和2年度初発の HPAI に関連して、起因ウイルスの全ゲノム解析、鶏感染試験を行い、ウイルスの由来、鶏 50%致死ウイルス量、死亡時間を明らかにして、2報のプレスリリースを迅速に行った。 |
カテゴリ | 抵抗性 鶏 豚 |