農産物輸出促進と食料の持続的安定供給を実現する植物保護技術の高度化

課題名 農産物輸出促進と食料の持続的安定供給を実現する植物保護技術の高度化
研究機関名 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶部門 カンキツ研究領域
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き部門 野菜生産システム研究領域
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶部門 茶業研究領域
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き部門 花き生産流通研究領域
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境センター 環境情報基盤研究領域
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 遺伝資源センター 微生物分類評価チーム
協力分担関係 社団・財団法人等(2)
地方公共団体等(3)
公設試験研究機関(19)
独法・国研等(3)(うち海外2)
大学(7)(うち海外2)
研究期間 2016-2020
年度 2020
摘要 リンゴでは、モモシンクイガを対象とした臭化メチルくん蒸の代替として想定する低温殺虫処理について、国際基準を提案するための効率的な試験方法として、目標(300 個体)を上回る約 450~1,600 個の幼果を供試し、過去 3 年間のデータと併せて幼果を用いた試験の妥当性を検証した。カンキツでは、ミカンバエの検疫措置として、殺虫試験に供試する幼虫寄生果実を作出する手法を確立し、収穫果実の高温処理を確認(42℃4時間で死亡率 100%、果実高温処理 42℃18 時間でも死亡率 100%)した。これらは、事業報告書として農林水産省に提出した。さらに、タイ・米国等海外へのミカンの輸出条件として産地に課されているミカンバエのモニタリングの効率を向上させるシトロネラオイルの利用方法を明らかにし、一部産地で実際にミカンバエの発生の検知に利用されている。
日本茶の海外輸出を促進する上で課題となる輸出先国の農薬残留基準に対応するために構 築した輸出対応型防除体系の輸出適合性の検証及び産地への現場実装については、講演や個 別産地の防除暦の検討等を通じて普及を行った結果、茶の主産 11 府県のうちの 10 府県(静岡県、鹿児島県、三重県、京都府、福岡県、宮崎県、埼玉県、長崎県、佐賀県、愛知県)で、輸出対応型の防除暦が作成され、暦に沿った防除指導が行われた。特に、鹿児島県の南薩地区や福岡県の中山間地域(対象面積:約 500ha)では慣行防除暦が輸出対応型の防除暦となる等、輸出用茶生産地の形成に向けた地域の取組にも大きく貢献した。さらに、大課題 10 との連携により、輸出対応型防除体系について「海外需要が拡大する抹茶・粉末茶に適した新品種「せいめい」栽培・加工技術標準作業手順書」の中に参考情報として米国、EU 向けの防除暦を掲載した。
国内未発生病害虫については、アザミウマ類 80 種 85 件、ポスピウイロイド 6 種約 200 件、サツマイモ害虫ゾウムシ約 800 件のサンプルのデータを追加した。サツマイモ害虫ゾウムシについては、個体群識別のためのマニュアルをデータベースに追加した。Liberibacter 属細菌の人工接種法を開発し、特許出願した。また、近縁 Liberibacter 属細菌種 5 種を PCR-RFLP により 6 時間以内で識別する作業手順、フィルムコート種子からの Lso 検出精度について、横浜植物防疫所に情報提供した。検疫有害動植物データベースは、植物防疫所からのアクセスが可能な農研機構研究公開サーバ上で稼働させ、実装を完了した。
一般に公開可能な植物病原微生物の同定補助システムのプロトタイプ「分類・同定支援システム」を構築し、ジーンバンク保存の植物病原株(糸状菌類は 116 属 4,511 株、細菌は 5 属2,242 株、植物ウイルスは 73 種 391 株)の情報を搭載した。さらに、九州沖縄農業研究センター(大課題 5)と連携し、九州沖縄経済圏スマートフードチェーンプロジェクト(九沖 SFC プロ)で問題となったサツマイモの腐敗症及びサツマイモ基腐病の診断・病原体検出技術開発のために必要な菌株情報を優先して整備し、上記システムを通じて提供することにより、定量PCR による基腐病菌の検出技術開発につなげた。
このほかに、盆栽、植木等の輸出で問題となる線虫については、特異的プライマーを用いたオオハリセンチュウ類の検出・判別する検査法を確立し、盆栽・植木等の輸出に取り組む都道府県への技術移転に向けて「盆栽、植木及びそれらの苗木の輸出の障害となるオオハリセンチュウ等植物寄生性線虫の判別標準作業手順書」の地域ハブ担当者限定版の原案を作成した。種子の輸出で問題となるアブラナ科野菜の黒斑細菌病について、本病原細菌による汚染の有無を評価する手法を開発するとともに、アブラナ科野菜の種子や病斑から黒腐病菌、斑点細菌病菌、黒斑細菌病菌の検出・同定を簡便かつ 1~2 日で効率的に評価できる手法を開発した。また、「ビワキジラミ防除のための総合技術マニュアル」の改訂版を公開・プレスリリースを行い、広く生産者等に情報提供するとともに、複数の普及誌への記事掲載や普及成果情報を通じて積極的に成果の周知に努めた。さらに、AI 技術を応用した早期警戒・診断同定システムの開発については、ジャガイモやせいもウイロイド(PSTVd)各8系統やペピーノモザイクウイルス(PepMV)に感染したトマトのデータを取得、さらに、ウイロイド等病原体の一括検出のためのパイプラインを構築し、農業情報研究センター(農情研)と連携し、クラスタリング手法によるウイロイドの病徴予測技術について特許として出願した。
カテゴリ あぶらな 害虫 加工 植物ウイルス 新品種 中山間地域 データベース トマト 農薬 ばれいしょ ビワキジラミ 防除 抹茶 モニタリング もも 輸出 りんご その他のかんきつ

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