高リスク病害虫国内発生時の管理技術の高度化と高精度化

課題名 高リスク病害虫国内発生時の管理技術の高度化と高精度化
研究機関名 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶部門 リンゴ研究領域
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 北農研 生産環境研究領域
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 九沖農研 生産環境研究領域
協力分担関係 民間(1)
生産組合・協議会等(1)
地方公共団体等(4)
公設試験研究機関(4)
大学(5)(うち国外1)
研究期間 2016-2020
年度 2020
摘要 イネウンカ類について、予測的中率が 83.8%、空間分解能 9 ㎞の飛来予測モデルと、それを用いた飛来予測システムを開発し、アワヨトウ、ツマジロクサヨトウの飛来予測システムとともに、JPP-NET 次期システムに利用されることが決定した。また、九州北部のダイズを加害するハスモンヨトウについて、従来法のフェロモントラップでは不可能であった被害予測(防除適期の判断等)に活用できるサーチライトトラップを用いた新たなダイズ被害の予察法を開発した。また、昆虫レーダを用いて、ヨトウ類の飛来予測手法の開発に資する飛翔実態を解明した。さらに、圃場で発生したイネウンカ類を粘着板で捕獲し、その画像を物体検出アルゴリズム「YOLO」に深層学習させることで、イネウンカ 3 種(トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ)及びそれぞれの雌雄、成虫の翅型、幼虫の生育ステージを高精度(トビイロウンカの適合率で 94.9%)に検出できるモデルを開発した。これによりこれまで熟練した調査員が長時間かけて行っていたイネウンカ類の分類・計数を自動化し、より迅速で正確な予察情報の提供が可能となる。
現場ニーズの高い病害虫の高精度検出・診断技術の開発と普及については、キウイフルーツかいよう病病原菌(Psa3)のより簡便な検出法(LAMP 法)を新たに開発した。今後、生産現場で利用可能な検出技術として、農林水産省植物防疫課で策定されている対策マニュアルに追記される予定である。
増菌培養とマルチプレックス PCR を組み合わせて、国内既報告のジャガイモ黒あし病菌 5 菌種すべてを、茎・根・土壌及び圃場水など多様な環境試料から低菌密度(1cfu/10ml)でも検出でき、従来法と比較して低コストな病原菌検出手法を開発し、種苗管理センター等種いも生産団体等での検証と技術移転を進めた。
外飛来性害虫であるツマジロクサヨトウと、形態的に見分けの難しい国内既発生のトウモロコシ加害近縁種 14 種とを識別可能なLAMP 法を開発し、特許出願に向けた手続を行った。
ジャガイモシストセンチュウ類については、農林水産省の植物防疫所向けに、ジャガイモシロシストセンチュウ(Gp)とジャガイモシストセンチュウ(Gr)の 2 種の高信頼性同時診断技術の作業手順書素案を作成して提示し、講習等を行い、同所における標準法として業務に利用されているほか、2種の簡易識別法である LAMP 法、さらに短期間(2 日)で本種2種の高感度検出が可能な PCR プライマーと検出法を開発し、特許出願した。これらにより、現場ニーズに応じた Gp 検査の使い分け(検査機関による高信頼性診断及び生産現場における迅速・簡易識別)への対応が可能となった。また、Gp に対する土壌くん蒸剤処理と捕獲作物(栽培することで線虫を根に取り込み死滅させる作用を持つ植物)栽培を組み合わせ、防除コストと輪作体系を考慮した防除実施体系を確立した。本技術は北海道の農業普及組織において現地指導で用いられている。
年度計画に加え、平成 29 年に長野県において国内初発生したテンサイシストセンチュウ(Hs)に対しては、捕獲作物候補によるテンサイシスト線虫存在量の低減効果を確認するとともに、現地の輪作体系に利用できる非寄主作物(ソバ、スイートコーン、ズッキーニ等)を栽培することでHs 密度の低減効果を確認した。
さらに、沖縄県のカンショ生産で被害が発生しているアリモドキゾウムシ・イモゾウムシに対して、クロラントラニリプロールのドローン防除により、薬剤の散布時間を 1/100 以下に削減して慣行と同等の防除効果が得られることを明らかにした。これら技術に加えて、主要品種「ちゅら恋紅」と新品種「ちゅらかなさ」を用いて植付時期・栽培期間を調整した周年出荷体系を現地実証試験した結果、目標収量の確保と、ゾウムシによる被害塊根率 2.5%(目標 15%以下)を達成した。
以上の年度計画の達成に加えて、キウイフルーツかいよう病に感染した花粉の除菌について、低濃度で高い抗菌活性を示し、花粉発芽への影響も少ない3種類の資材を見出した。花粉上の本菌(Psa3)に対しても高い殺菌効果を有することが確認できたことから、特許出願(2 件)した。さらに、アジア地域における水稲の重要害虫であり、同時発生して形態、特に幼虫時点での形態が酷似するため識別が困難であったイネウンカ類 3 種(トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ)を、簡易的に識別できるマルチプレックス PCR 法を開発し、特許出願した。本成果を活用して AI 自動カウントシステムの教師データ作成のアノテーション効率を向上させる事が出来たほか、全国の病害虫防除所及び植物防疫所等における発生予察等で活用される技術である。
カテゴリ あわ 害虫 かんしょ 管理技術 キウイフルーツ コスト 出荷調整 シロシストセンチュウ 診断技術 新品種 ズッキーニ 大豆 低コスト てんさい とうもろこし 土壌くん蒸 ドローン ばれいしょ ヒメトビウンカ 病害虫防除 品種 フェロモン 防除 薬剤 輪作体系

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる