2-(6)水産物の安全・安心と輸出促進を含めた新たな利用のための研究開発

課題名 2-(6)水産物の安全・安心と輸出促進を含めた新たな利用のための研究開発
研究機関名 国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所
環境・応用部門水産物応用開発部
環境・応用部門水産物応用開発部 付加価値向上グループ
環境・応用部門水産物応用開発部 安全管理グループ
養殖部門養殖経営・経済室
環境・応用部門環境保全部 有害・有毒藻類グループ
養殖部門生産技術部 技術開発第3グループ
環境・応用部門沿岸生態システム部 亜寒帯浅海域グループ
環境・応用部門沿岸生態システム部 温帯浅海域第2グループ
環境・応用部門沿岸生態システム部 漁場生産力グループ
国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産資源研究所
水産資源研究センター海洋環境部 寒流第2グループ
水産資源研究センター海洋環境部 放射能調査グループ
水産資源研究センター生命情報解析部 ゲノム情報解析グループ
国立研究開発法人水産研究・教育機構 開発調査センター
実証化企画室
協力分担関係 福島県
福島県漁業協同組合連合会
相馬市磯部地区水産物流通加工業協同組合
いわき市漁業協同組合
ミツイワ(株)
宮城県水産技術総合センター
(地独)青森県産業技術センター
ナラサキ産業(株)
(株)ヤマヨ
東北大学
研究期間 2016-2020
年度 2020
摘要 ・貝毒監視体制高度化のため、ガイドラインのもと導入が認められた簡易検査キットを市販化するとともに、導入方法に関するマニュアルの公開や研修会の開催により普及に努めた。具体的には、機器分析法(2件)、簡易分析法(2件)に関するマニュアルを公開した。都道府県や民間検査機関担当者を対象とした令和2年度貝毒分析研修会を主催したほか、都道府県の試験研究機関と民間検査機関での講習会を開催して新規分析法の普及を進めた。また、貝毒分析キットの普及を促進し、貝毒監視体制を更に高度化するために、海域細分化(アカガイ)、毒化部位除去による加工出荷(トリガイ)、自主規制の早期解除(マガキ)など、漁業被害軽減策の導入に寄与するデータを収集した。
・小売店で購入した水産物について、病原性ビブリオ及びリステリア モノサイトジェネスの汚染実態調査を行ったところ、ビブリオは生食用鮮魚介類における菌数が低かったことから、喫食により感染するリスクは低いことが示され、リステリアは生筋子を醤油漬け等に調理する際には注意が必要であることが示された。
・かつお節粉末に含まれる多環芳香族炭化水素(PAHs)のうちベンツピレン(BaP)の簡易測定技術を開発した。有機溶媒とカートリッジカラムを用いた簡易抽出法を開発した。PAHsのうちBaPについて三次元蛍光測定からの予測値とポストカラム反応蛍光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC-FL)での実測値をプロットし、予測精度を評価したところ実用的な精度で推定可能と判定された。
・三次元蛍光測定と多変量解析による簡易迅速なヒジキの産地判別法について、サンプル数を約100検体増やして各種機械学習手法による判別率の精度検証を行なった。判別モデルは、正規化したデータでロジスティック回帰を用いたモデルが最も有効であった。
・スマートフォン等の普及や原発事故による風評等を考慮したトレーサビリティーマニュアルを作成した。福島県の漁獲情報、放射能検査情報について広報用のICTシステムを開発した。さらに、業者、消費者を対象としたWebアンケートにより一般消費者の30%が福島県産水産物に対し履歴や生産者情報があれば購入する、生産者・加工業者の84%がトレーサビリティー導入は風評対策に効果があると回答するなど、トレーサビリティー情報の重要性が明らかになった。
・経口摂取されたセレノネインはその構造の一部が変換され尿中に排泄される代謝経路と、赤血球、肝臓、腎臓、脾臓に多く蓄積されるという動態が明らかになった。
・福島県相馬で漁期(6月~1月)に水揚げされたホッキガイの主な可食部である貝足について味覚センサーで分析し、苦味雑味、渋味刺激、旨味、塩味、旨味コク、甘味についてレーダーチャートグラフで美味しさの見える化を行った。その結果、甘味、旨味、旨味コクが8月で最も強いことを示した。また、ホッキガイの味の特徴である甘味は、7月、9月、10月も強いことが示された。美味しさに関与するグリコーゲン含量の変化とも一致し、相馬産ホッキガイの最も美味しい時期(旬)は、7月~10月であることが示された。
・ICTの活用により、近赤外分光法により得られる魚類の脂質含量データを即時に見える化可能であることが実証されたことから、品質情報を社内での品質管理や製品開発、取引先への提示等に活用することが可能となる。
・千葉県水産総合研究センターと同県内企業が製作したアカエイ加工製品に適用可能な前処理法を開発して、コンドロイチン硫酸精製・定量手法を確立した。
・農産物の安全基準(GAP)認証取得の養殖ブリに対する消費者評価を実施した。分析の結果、GAP認証取得の養殖ブリに対する購入意欲の高い消費者の特徴として、「最近1年間にブリの購入経験がある」、「国や専門家が提供する食品情報は信頼できると考える」、「GAP認証取得で安全性が高まると考える」等を含む8点が明らかとなった。
・消費者選好を解明できるBest-Worst Scaling手法を用いたアンケート調査を実施し、消費者が求める食品の安全性や信頼性に係る情報の提供方法を明らかにした。分析の結果、消費者が求める情報提供方法は、評価の高いものから、「トレーパックに情報を表示」、「店頭に情報を掲示」、「認証マークのみ」、「タッチパネル等の端末機械で情報を表示」、「スマートフォン等から情報を表示」、「店員にたずねる」の順であった。つまり、消費者は、トレーパックや店頭での表示で、簡単に情報収集することを望んでいる。一方、タッチパネルやスマートフォンを操作する等の手間がかかる方法に対して相対的に評価が低いことが明らかとなった。
・農林水産消費安全技術センター(FAMIC)が実施したスルメイカ判別マニュアル(DNA分析)の制定及びDNAシークエンスマニュアルの改訂に協力した。
〔アウトカム〕
・貝毒簡易分析キットについては、導入のための講習等を各地で開催した結果、複数の都道府県で利用されモニタリングコストの削減等を目的に導入の検討が進められている。また、農林水産省の交付金事業でも複数の都道府県が本キットによる簡易分析法の利用の検討を進めている。
・令和2年度から下痢性貝毒分析キットの市販化を開始した。関係府県と検討した漁業被害軽減策の一部は当該県に試験的に導入されている。
・開発したふくしま魚っち本舗のアプリ(福島県の水産に関わる様々な情報を『もっと簡単に』『もっと正確に』『もっと面白く』発信するアプリ)は、App Store及びGoogle Playから入手可能となっている。ふくしま魚っち本舗公式Twitterも公開中である。
・相馬産ホッキガイの旬が特定されたことで、相馬双葉漁業協同組合磯部水産加工施設の販売所で7月~10月まで「今が旬!磯辺のホッキ」という販売促進チラシが掲示された。
・八戸市の水産加工企業において、さばの脂質選別実証試験を実施しており、その結果により現地水産加工企業等に実装されることになる。
・近日発売予定のアカエイ燻製アヒージョには、開発した手法により定量したコンドロイチン硫酸含有量が製品ラベル(成分表示の枠外)に表示され、顧客へのアピールに活用されている。
カテゴリ ICT 加工 簡易測定 コスト 市販化 出荷調整 風評 モニタリング 輸出

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