3-(1)海洋・生態系モニタリングとそれらの高度化及び水産生物の収集保存管理のための研究開発

課題名 3-(1)海洋・生態系モニタリングとそれらの高度化及び水産生物の収集保存管理のための研究開発
研究機関名 国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産資源研究所
水産資源研究センター海洋環境部
水産資源研究センター海洋環境部 寒流第1グループ
寒流第2グループ
水産資源研究センター海洋環境部 暖流第1グループ
暖流第2グループ
暖流第3グループ
水産資源研究センター海洋環境部 放射能調査グループ
水産資源研究センター漁業情報解析部 情報企画グループ
水産資源研究センター生命情報解析部 分子機能グループ
水産資源研究センター広域性資源部 まぐろ第1グループ
水産資源研究センター生命情報解析部 分子機能グループ
水産資源研究センター浮魚資源部 浮魚第2グループ
国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所
養殖部門育種部
養殖部門育種部 育種基盤グループ
企画調整部門 標本管理室
環境・応用部門水産工学部 漁業生産工学グループ
養殖部門育種部 系統開発グループ
環境・応用部門沿岸生態システム部 内水面グループ
環境・応用部門沿岸生態システム部 有明海・八代海グループ
養殖部門生産技術部 技術開発第4グループ
協力分担関係 宮城県
(株)プロトソリューション
(株)IDDK
アンデックス(株)
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構
筑波大学
東京都立大学
京都大学
大阪大学
近畿大学
研究期間 2016-2020
年度 2020
摘要 ・緊急事態宣言の影響により令和2年4月のO-Line(黒潮域)の1航海が中止となった以外は、計画通りにA-Line(親潮-混合域)、O-Line、SI-Line(日本海)、CK-Line(東シナ海)で観測が実施された。
・既存データの整理・解析を進め、以下の通り、海域ごとの変動特性を明らかにした。親潮域では栄養塩、植物プランクトン群集構造の季節変動を明らかにした。
・黒潮域では、海洋生態系への影響の指標となる混合層深度の長期変動解析、安定同位体比の解析による基礎生産過程の解析を実施し、黒潮流域でのクロロフィル現存量を見積もった。
・日本海の調査・解析では、富山トラフでの対馬暖流沿岸分枝の流路変動メカニズムを解明し、小木?柏崎の潮位差で流路の遷移をモニターできることを示した。具体的には、両地点の水位差の減少率が-4mm/dayを越えた約半月後に、佐渡島西岸を通過する沖合モードの流路へ変遷することを過去10年間の数値モデル結果及び潮位観測値の解析結果から明らかにした。
・東シナ海の解析では、沿岸由来と黒潮系暖水の両水塊による混合過程に着目した冬季栄養塩濃度の解析を進めた。
・放射能調査モニタリングでは、福島第一原発由来のセシウム134に着目した高知沖・常磐沖における採水データの解析を通じ、その輸送過程に亜熱帯モード水(黒潮等の海流に囲まれた北太平洋亜熱帯循環の北西部に広く分布する水塊)との関連があることが示唆された。
・資源・漁獲情報ネットワーク事業と連携し、「環境ゲノム測定マニュアル」及び「DNA抽出法とPCR増幅によるDNAライブラリーの作製」に関するマニュアルを作成し、調査船上でのサンプル測定から陸上での解析処理までの手順を整え調査現場に導入された。
・各海域での定線モニタリングで得られた海洋環境情報は、漁海況情報として発信された。
・放射能関係では、放射性セシウム及び放射性ストロンチウム等の測定値が水産庁ホームページで公表されたほか、震災復興交付金課題の報告書が水産研究・教育機構ホームページに公表された。
・ツノナシオキアミを対象にして、計量魚群探知機により音響データを収集、自動解析し、分布状況をリアルタイムに収集、陸上配信するネットワーク型音響機器のシステムを開発した。本システムを5隻の調査船に搭載して、実証実験できる体制を構築した。当初、本システムの提案を目標としたが、目標を大きく上回り、開発、実装に至った。
・水中グライダーの運用に必要な情報(手続きマニュアル、運用マニュアル、監視システム、制御システム等)を統合した水中グライダー運用システムを完成させ、水中グライダーを用いたモニタリング体制を強化した。
・沿岸域では、インターネットカメラ等を活用したノリ食害生物のモニタリング等の先端機器やICTを活用した干潟等浅海域の漁場モニタリングの基盤を構築した。
・調査により得られる情報の空間スケールと得られる物理・化学パラメータに着目して、船舶によるCTD(塩分、温度、水深を計測する機器)観測、アルゴフロート(全世界中層フロート観測網の計測機器)、水中グライダー、XCTD(漁船で観測可能な簡易CTDシステム)、U-CTD(CTD曳航観測)の特徴を整理し、相補的な使用方法や課題について検討した。
・新たなモニタリング手法の1つとして開発した”海水混合による硝酸塩供給を計測するシステム”により、浮魚類の再生産域として重要な黒潮において、栄養塩供給に伴うプランクトンの生産が維持される機構を明らかにし、先端機器による海洋モニタリングの必要性を示した。
・運用版の海況予測システムFRA-ROMSから、日本海等の予測を高精度化したFRA-ROMS IIを運用する基盤システムの開発、日本周辺海域の高解像度FRA-ROMS、内湾の循環を再現できる超高解像度モデルの開発により、北太平洋~沿岸をシームレスにつなぐマルチスケール海況予測システム(北太平洋、北西太平洋、日本周辺海域、内湾をそれぞれ100km、10km、2km、100mスケールの分解能で解析可能にし、連結させた海況予測システム)の構築が完了した。
・日本海の試験研究機関、水産大学校船(漁業練習船)等の観測データ速報値を収集・管理して、FRA-ROMSに使用するシステムが構築された。
・FRA-ROMSの出力結果を容易に利用するためのインターフェイスである漁海況情報解析システムが開発された。本システムにより、データの可視化、指標化、粒子追跡実験等を容易に行えるようになった。
・調査船調査で取得された海洋環境データの収集及び管理を継続して行った。
・海洋環境データベースは、水産庁事業で運用している海況予測モデルの精度検証に活用された。
・機構が保有する餌料生物や海藻等の有用株の令和2年度配布実績は、12月末日時点までの集計で、生物餌料74株、藻類11株、微生物1株の合計86株となっており、要望に応じて適切に対応した。また、微細藻の保存技術開発を進めており、テトラセルミス株では、凍結保存技術の開発に目途がたち、その復元後の細胞品質に問題が無いことを確認した。
・魚類のうち淡水魚標本では液浸標本935ロット3,368個体分の採集データ調査を終え、うち242ロット719個体を登録した。 卵稚仔では、過去及び当該年度の太平洋ブロック外を含む採集標本約50ケース分を収集・整理・電子リスト化し、計1,219ケース分 (標本数30?150本/ケース) となった。これら試料については大学等延べ7機関に16検体が提供され、利活用が行われた。
・動物プランクトンでは平成30年度卵稚仔調査事業・A-line調査等調査での新規採集標本、他機関からの移管標本の合計2万本(累計約21万本)分を整理・データベース登録し関係者と共有した。これら試料については、各種試験研究機関等延べ7機関に9,810検体が提供され、利活用が行われた。
・令和2年度は令和元年度に引き続き、優良品種の性未分化細胞から卵子を作るため、3倍体不妊宿主へ総排泄腔移植法を実施した。また、精子の凍結保存については海洋水産資源開発事業で利用できるようにプロトコール(複数の者が対象となる事項を確実に実行するための手順)を作成するとともに、保存技術を総括する報告書を作成した。
〔アウトカム〕
・海況モデルや人工衛星データの検証、さらには気候変動や生態系変動等への影響評価等に必要な基礎的情報を事業・研究に提供した。
・観測で得られた情報は、共同研究を実施する漁業情報サービスセンター(JAFIC)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、気象庁や大学等でも解析され、研究の推進及び社会的な貢献をしている。
・放射能モニタリングは昭和37年より行われており、これまでの調査から福島第一原発事故以前の我が国周辺水産物の放射能水準値が把握されてきた。福島第一原発事故後、この水準値が活用され、福島第一原発事故影響の範囲の評価等に活用されている。一部の大手スーパーや消費者の水産物へゼロベクレルを求める運動に対して、事故以前より水産物に放射性セシウムが存在していたことを示すデータとしてホームページ等で活用されている。
・インターネットカメラ等を活用した漁場観察モニタリング手法は、ノリ食害生物のモニタリング(水産庁補助事業)等に活用されている。
・現場導入への課題を解決した簡易型XCTD/XBT投入機は、和歌山県等が実施している海洋モニタリング調査に活用されている。
・海況予測システム(FRA-ROMSとJADE2)及び関連モデルの出力は、水産庁事業漁海況予報事業を始めとする各種研究事業で活用されている。さらに、マスコミ対応や各地域のニーズ対応として利用が進められている。
・ジーンバンク事業では、配布した遺伝資源は公設水産試験場等における水産業対象魚介類の種苗向け餌料として活用されたほか、オニヒトデ研究プロジェクト、東北地方におけるフジツボ養殖技術の開発、希少エビ類の幼生育成研究、重要二枚貝幼生の育成技術開発など、広く国内で利活用されている。
・魚類仔稚魚、プランクトン等の標本は国内試験研究教育機関のほか、公設栽培センターや民間企業研究部門、さらには個人事業所も含め、多くの研究機関で活用されている。
カテゴリ ICT 亜熱帯 遺伝資源 環境データ 季節変動 データベース 品種 モニタリング 輸送

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