課題名 | d.プリオン病の防除技術の開発 |
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課題番号 | 200709587 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
農業・食品産業技術総合研究機構,動衛研,プリオン病研究チーム |
協力分担関係 |
富士レビオ PeopleBio 産業総合技術研究所 動物医薬品検査所 東北大学 ソウル大学 生物資源研究所 北海道立畜産試験場 九州大学 アドバンスソフト |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2007 |
摘要 | 1)プリオン病の診断技術の開発に関しては、PrPScに対する特異的なプローブとしてのアプタマーの作製とそれを用いたプリオン濃縮法を確立した。血清などからのプリオン濃縮法への有用性が示唆されており、医薬品の安全性担保への応用が期待されている。また、複数のPrPSc特異抗体を作出し、その反応性の違いから、スクレイピー、牛海綿状脳症(BSE)のPrPScの立体構造の違いを明らかにした。2)プリオンの試験管内増幅法の一つであるPMCA法によりスクレイピー感染ハムスターの血液、尿中からのPrPSc高感度検出法(ウエスタンブロット法の10億倍、バイオアッセイ法の10万倍)を確立し、PrPScの体液中での動態を明らかにした。ハムスターではPrPScが尿中から検出されるほか、未発症期の白血球からも検出されることが示された。また、PMCA法で羊スクレイピーおよびBSE由来PrPScを増幅するための候補条件を明らかにした。本成果はBSE等プリオン病の生前診断法開発の可能性を明確にした。3)プリオンの伝達性にはPrPScのアミロイド構造が関与していることを明らかにし、不活化に必要な構造変化を明らかにする上で、有用な情報を得た。4)プリオン病の発病機構を試験管内にて解明するため、樹立したプリオン感染ミクログリア細胞の解析から、チャンネル型ATP受容体ファミリーの一つであるP2X7の機能亢進が神経変性の一因である可能性を提示した。5)BSEプリオン感染における「種の壁」に関与する因子を明らかにすることを目的として、各種の遺伝子組換えマウスを用いた伝達試験により、ハムスターのBSEプリオンに対する抵抗性に関する領域を明らかにした。また、異種動物へ伝達するとプリオンの伝達性(病原性)が強くなることを示した。さらに複数の遺伝子組換えマウス(ノックインマウス)を用いたCJD伝達試験により、PrP遺伝子のヘテロ性によりPrPScへの変換抑制が起こることを明らかにした。6)開発した高感度ウエスタンブロット法を用いてBSE感染牛の末梢神経におけるPrPSc蓄積時期を明らかにした。特定危険部位(SRM)以外におけるPrPScの出現は中枢神経系でのPrPScの蓄積が起こる時期以降であることから、現行のBSE検査で陽性牛を排除することにより末梢でのBSEのリスクも排除されることを明らかにし、リスク管理措置に貢献した。7)国内の非定型症例(BSE/JP8)、若齢型症例(BSE/JP9)について遺伝子組換えマウスを用いた伝達試験を行い、当該試料中のプリオンが103LD50/g以下であったことを明らかにした。この成果については内閣府食品安全委員会にも報告した。8)我が国のBSE検査システムが鹿慢性消耗病(CWD)にも適用でき、この検査法で国内にCWDに感染したシカは認められないことを明らかにするとともに、我が国の伝達性海綿状脳症(TSE)の防疫対策に資するため、CWDを含むTSEサーベイランスのとりまとめを公表した。 |
カテゴリ | 病害虫 シカ 診断技術 抵抗性 羊 防除 |