タイトル | 粒餡加工適性が優れる炭そ病抵抗性のいんげんまめ新品種「十育A56号」 |
---|---|
担当機関 | 十勝農試 |
研究期間 | 1995~2003 |
研究担当者 |
奥山昌隆 江部成彦 佐藤 仁 三上浩輝 村田吉平 島田尚典 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 「十育A56号」は、「姫手亡」より未吸水粒が少なく、餡は色が白く粘りがあり食感 が滑らかで、粒餡加工適性に優れる手亡品種である。また、インゲン炭そ病に抵抗性である。 収量性は「姫手亡」にやや劣り、極端な低温条件下では低収となる。 |
キーワード | インゲン、手亡、粒餡、未吸水粒、餡色、加工適性、炭そ病抵抗性 |
背景・ねらい | 平成14年で手亡栽培面積の68%、2,136haを占めている炭そ病抵抗性品種「雪手亡」は、 加工の際に煮えづらい未吸水粒が多いため、粒餡原料としては使用できない。このため、粒 餡用としては、未吸水粒が少ない「姫手亡」が使われている。しかし、「姫手亡」は炭そ病 抵抗性がないので、病斑のついた子実が混入し、消費者からの苦情の原因となる。そこで、 粒餡用として、「姫手亡」並みに未吸水粒の発生が少なく粒餡加工適性に優れ、炭そ病抵抗 性を持つ手亡品種が要望されている。 |
成果の内容・特徴 | 1.手亡「十育A56号」は、大粒良質多収の手亡系統「十系A216号」を母、良質の手亡系統「十 系212号」を父として、人工交配を行った後代から育成した品種である。平成12年度からは、 和菓子メーカーである(株)御座候との共同研究により、粒餡加工適性で選抜してきた。 2.育成地での成熟期は「姫手亡」並み~3日遅いが、「雪手亡」とは同程度~3日早い(表1)。 3.「姫手亡」「雪手亡」に比べて、草丈はやや低く、莢数はやや多い。一莢内粒数は少なく、 子実収量はやや少ない(表1)。 4.百粒重は両品種より重く、検査等級は同程度である(表1)。 5.未吸水粒が非常に少なく、粒餡加工適性が優れる(表1,2)。 6.餡色は「姫手亡」「雪手亡」に比べて白く明るい色調で、舌触りが滑らかで粘りの強い餡 ができる(表2)。 7.インゲン炭そ病に抵抗性を持ち、同病害に対する防除は必要ない(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 本品種は、道東の特に冷涼な地帯(小豆地帯別栽培指針のI-1の地帯)を除く全道のインゲンマメ作付け地帯に普及する(図1)。栽培上の注意は以下の3点である。 1.極端な低温条件下では減収率が大きいので、特に気象条件の厳しい地帯での栽培は避けるが望ましい。 2.極端な多肥栽培では倒伏を助長し、成熟期における葉落ちが不良になることがある。 3.インゲン炭そ病防除の茎葉散布は不要であるが、他病害には従来の品種と同様に罹病するで防除を行う。 |
カテゴリ | 病害虫 いんげんまめ 加工 加工適性 新品種 抵抗性 抵抗性品種 品種 防除 |