ばれいしょ打撲試験機の開発および打撲黒変耐性の品種間差

タイトル ばれいしょ打撲試験機の開発および打撲黒変耐性の品種間差
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 1998~2003
研究担当者 高田明子 
小林 晃
津田昌吾
森 元幸
高田憲和
発行年度 2003
要約 ばれいしょの打撲黒変耐性を評価するため、いもに打撲を効率的に与える打撲試 験機を開発した。打撲後、黒変数を調査して評価した打撲黒変耐性は、「ホッカイコガネ」 が強く、「農林1号」などが弱い。
キーワード ジャガイモ、ばれいしょ、打撲、黒変、試験機
背景・ねらい ばれいしょは衝撃を受けた際に、外観に変化がなくても数日後に内部に打撲跡の変色(打撲黒変)を生じることがある。この打撲黒変は、食品加工工場で皮を剥いた時に初めて判り、人手で変色部分の取り去りが行われ、労力や人件費の増加、歩留まりや品質の低下をもたらす。打撲黒変の多少は、温度や貯蔵条件などの影響を受ける他、品種間差や遺伝性あることが海外で報告されている。しかし、日本では品種の打撲黒変耐性の評価は殆どされていない。近年、収穫や選別貯蔵で作業機械が大型化し、打撲の問題はより深刻となり、生産・加工現場から打撲による黒変に耐性を持つ品種の育成と品種間差の情報提供の要望が高い。
成果の内容・特徴
  1. 市販の肥料混合機を改造した打撲試験機(図1)を開発した。当該機は直径80cmのドラムとモーターからなり、内壁をゴム張りしたドラムを回転させると内側の羽根がいもを持ち上げ、いもが落下することにより衝撃を与える。打撲後は開口部を開けるといもが自動的に排出される。
  2. 打撲試験機を用いると、人手による打撲に比べ、作業時間は1点あたり2分と半分以下に短縮され、育種で使用するに十分な点数を軽労力で処理できる。打撲時の衝撃の強さは、衝撃記憶装置(IRD:Teckmark Inc.)で測定すると、一般的なハーベスターでの衝撃よりも強い。
  3. 打撲黒変耐性の評価試験は図2の手順で行い、いも1個あたりの平均黒変数を基に、打撲黒変耐性を評価する(表1)。
  4. 打撲黒変耐性の品種間差は、「ホッカイコガネ」が強く、次に「さやか」「メークイン」などがやや強い。「男爵薯」「キタアカリ」などがやや弱く、「十勝こがね」「農林1号」などが弱い(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 打撲黒変耐性の品種間差は、生産・流通・加工現場でのハンドリング情報として利用する。
  2. 打撲試験機は、育種での育成系統・母本の打撲黒変耐性の評価に用いる。
  3. 年次や栽培条件によって同一品種でもその品質が変化するので、打撲黒変耐性は供試年や試験区で振れがある。品種・系統の評価には複数年の試験が望ましい。
  4. 材料のいもは収穫期からハンドリングに際し打撲させないように十分注意し、急激な変温環境下には置かない。
図表1 209949-1.gif
図表2 209949-2.gif
図表3 209949-3.gif
図表4 209949-4.gif
カテゴリ 肥料 育種 加工 栽培条件 ばれいしょ 品種

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