タイトル | メロン障害果(実くずれ果)の発生要因と抑制対策 |
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担当機関 | 北海道原子力環境センター |
研究期間 | 2002~2003 |
研究担当者 |
後藤英次 中村隆一 平井剛 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 赤肉メロン「ルピアレッド」の実くずれ果発生要因は、収穫近い時期の高温や湿害、硬 盤層による根張り不足、成熟後期の日照不足、着果前の強整枝などにより実くずれ果発生が助長 される。発生抑制のためには、高畝による根圏環境の改善と適正な整枝による草勢維持が重要で ある。また、実くずれ果では胎座でのカリウム含有率の増加、果肉および胎座でのペクチン中に おけるヘキサメタリン酸画分の減少とカルシウム/カリウム比の低下が認められる。 |
キーワード | メロン、実くずれ果、高温、湿害、高畝 |
背景・ねらい | 北海道において1999年~2000年に多発した、赤肉メロン「ルピアレッド」の果肉が溶ける実く ずれ果に対して、その発生要因を解析するとともに、実くずれ果発生を抑制するための栽培技術 を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 実くずれ果の多発生年(1999年,2000年)は高温年であり、一時的な日射不足と多雨条件があった。また、2002年の実くずれ果発生圃場は作土が浅く、作土直下に硬盤層が認められた。 2. 農家圃場の実態調査から、作土直下に硬盤層をもつ圃場では、根の伸長不足と褐変、上位葉比率の低下、茎葉におけるカルシウム含有率および保有量の減少などが認められる。 3.成熟期間の日射不足は実くずれ果発生を助長し、特に成熟後期(着果後35日頃)以降の日射が重要である(表1)。 4.根圏土壌の水分過剰(特に停滞水による湿害)は草勢を衰えさせ、実くずれ果の発生を助長する(表2)。水分過剰に対する影響は成熟が進むほど大きい傾向にある。根圏環境の改善としては高畝栽培が有効である(図表省略)。 5.気温の影響は、収穫近い時期の高温による茎葉のしおれが実くずれ果発生を助長する(図表省略)。また、実くずれ果は生育不良(つる長が短い、葉色が淡いなど)の株で多発する傾向 にある(図1)。 6.着果前の強整枝は着果期以降の生育に悪影響を与え(図2)、実くずれ果発生を助長する。 7.実くずれ果では無機成分含有率が減少する傾向にあり、果皮のカルシウム含有率低下、胎座のカリウム含有率上昇が認められる(図表省略)。 8.果肉および胎座のヘキサメタリン酸画分ペクチンが減少し、水溶性画分が増加する。また、胎座部におけるカルシウム/カリウム比の低下が認められた(図表省略)。 9.以上のことから、赤肉メロン「ルピアレッド」において、収穫近い時期の高温や多雨、硬盤 による根圏環境の悪化、成熟後期の日射不足、着果前の強整枝などが実くずれ果発生を助長す ると推察でき、その対策は高畝による根圏環境の改善と高温時の十分な換気、着果前の適正な整枝などがある。 |
成果の活用面・留意点 | 本試験は2002年~2003年(低温年)に赤肉品種「ルピアレッド」を用い、トンネル早熟作型で行 った。 |
カテゴリ | 栽培技術 湿害 障害果 品種 メロン |