タイトル | 粘質野菜畑土壌のα-グルコシダ-ゼ活性、水分条件に基づいた土壌管理指針 |
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担当機関 | 北海道立中央農業試験場 |
研究期間 | 1998~2003 |
研究担当者 |
奥村正敏 小野寺政行 中本洋 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 粘質野菜畑土壌のα-グルコシダ-ゼ活性がたまねぎ畑では500pmol/g/min未満、輪作畑 |
キーワード | 粘質土壌、野菜、α-グルコシダ-ゼ活性、土壌水分、有機物、耕耘法 |
背景・ねらい | 粘質野菜畑土壌は、ち密で透水性・通気性が劣るために有機物の分解や根の生育などが抑制 され、生産が不安定となる場合が多い。そこで、土壌の理化学的・生物的環境を総体的に反映 すると考えられる微生物活性(α-グルコシダ-ゼ活性)を指標とし、有機物管理や耕耘管理技 術によって野菜の生産性向上を目指した生産環境改善のための土壌管理指針を策定する。 |
成果の内容・特徴 | 1.粘質野菜畑土壌のα-グルコシダ-ゼ活性は、作土上部(0~10cm)に対して作土下部(10 ~25cm)で平均200pmol/g/min程度低い(表1)。たまねぎ畑土壌は輪作畑土壌に比べて微生 物基質となる作物残渣等の有機物還元量が少なく活性が低い傾向にある。 2.α-グルコシダ-ゼ活性は、土壌の物理環境を現す容積重および固相率、pF1.5の気相率や、 窒素肥沃度を現す熱水抽出性窒素、他の微生物特性(易分解性炭素量、バイオマス炭素量、 放線菌数)と密接な関係を示し、理化学的・生物的環境の総体的な指標となる。また、粘 質野菜畑土壌では微生物基質となる有機物と土壌の堅密化等の物理性によって活性が規制 される。 3.α-グルコシダ-ゼ活性がたまねぎ等の野菜の生産性と密接な関係を示すこと、および表2関係から、粘質野菜畑土壌におけるα-グルコシダ-ゼ活性の目標値をたまねぎ畑(連作 主体)で500pmol/g/min以上、輪作畑で同700以上と設定できる。診断部位は土壌の乾湿に よる活性値の変動が少ない作土下部が適当である。 4.粘質野菜畑土壌では、先ず有機物の補給が不可欠であり、次にこれを作土下部まで混和し ながら同時に作土層の物理性を改善する耕耘法によってα-グルコシダ-ゼ活性が作土層全 体に向上し、野菜の生産性が良好となる。 5.これを実践する耕耘法としては、土壌を反転耕耘するプラウ耕が最も有効である(表3)。 しかし、土壌が湿潤な条件では、プラウ耕は土壌を練り返して物理性を悪化させるため、 土壌の乾燥化を促進するチゼル耕が有効となる。 6.以上のことから、α-グルコシダ-ゼ活性および土壌水分条件等に基づいた粘質野菜畑土壌 における土壌管理指針は図1のフロ-のようにまとめられる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.α-グルコシダ-ゼ活性の目標値の適用範囲は、作土層の粘土含量(国際法)が15%以上かつ腐植含量が5%未満の低地土および台地土を対象とする。 2.春(5月)に耕耘した場合は、プラウ耕で耕耘後3~6日目、チゼル耕で耕耘後1~3日目を目安に土壌を乾燥させると、整地時の砕土性が良好となる。 3.著しい排水不良土壌では「土壌・土地条件に対応した総合的な排水改良(平成14年 普及推進事項)」等に従い抜本的対策を別途講じる。 |
カテゴリ | 乾燥 管理技術 たまねぎ 輪作 |