食品からの有害微生物の迅速多重検出法の開発

タイトル 食品からの有害微生物の迅速多重検出法の開発
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 2003~2003
研究担当者 稲津康弘
川崎晋
川本伸一
発行年度 2003
要約 食品に存在する腸管出血性大腸菌 O157:H7、サルモネラ属、リステリアモノサイトゲネス などの食中毒菌を1本の PCR 反応チューブ内で同時に反応させることにより、公定法と同 等またはそれ以上の感度で迅速検出可能な多重検出法を開発した。
キーワード PCR、食中毒、多重検出、微生物検査、食品衛生
背景・ねらい 食中毒の未然防止や食品製造現場における検査コストや時間の削減を目的として、迅速かつ一度の工程 で多種の食中毒菌(今回では主に食肉由来食中毒細菌)を検出する手法を開発した。従来の公定法では食 中毒菌の同定試験に少なくとも3日以上必要であるが、本手法により時間を大幅に短縮した。検出感度に おいても1細胞の細菌を 24 時間で検出でき、食肉検体での実用も期待できる。
成果の内容・特徴 1.食肉由来食中毒細菌で重要な腸管出血性大腸菌 O157:H7、サルモネラ属、リステリアモノサイトゲネ スの3種類において、既知の特異的検出プライマーから互いに干渉力の少ないプライマーを選択し、 PCR 反応を至適化した。その結果、1分子の標的 DNA が反応管に存在すれば検出可能である反応系を 確立した。
2.上記の食肉由来食中毒細菌3種が同程度に共通して増殖できる増菌培地を検討した。緩衝液の至適化・ グルコース濃度の加減・pH 保持などにより、18 時間の培養で本法の検出閾値に十分達する条件を見 出した。
3.有機溶媒を用いることなく食肉由来食中毒細菌3種の DNA を一括して効率よく抽出する手法を確立し た。抽出 DNA 溶液を本法に供することにより、上記食中毒菌の検出が可能であった。これは食肉混在 系において試験した場合も同様の結果であった。
4.実際の食品を想定して、牛挽肉や鶏肉に上記微生物を最低濃度(1~10 細胞/25g)接種した検体から回収試験を試みた。増菌培養を含めて検討した結果、標的以外の常在菌が 107 細胞存在している検 体においても本法による食中毒菌の特異的検出が可能であった。
成果の活用面・留意点 1.従来法ではこれらの食中毒菌の検出には多大な時間やコストを必要とし、さらに熟練の技術を必要 とする。本法のプロトコールでは複数の食中毒菌を一括して増菌培養し、DNA 抽出後 PCR 反応によ り検出できる。
2.従来法では通常3日以上の時間が必要であるところを1日で検出できる。
3.PCR 反応は検出コストが高いと言われているが、本法では3菌を同時検出できることから最終的にコストの大幅削減と作業の効率化が期待できる。
4.PCR 法は様々な高感度検出手法が開発されており、それらの技術と本法を融合することにより、より簡易な検出方法の確立の可能性がある。
5.食肉以外においても応用可能か否かの評価試験を広く行っていく必要がある。
カテゴリ コスト

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる