タイトル | 玄米半粒を試料とするDNA食味選抜技術 |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2000~2003 |
研究担当者 |
岡留博司 大坪研一 中村澄子 鈴木啓太郎 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 玄米半粒から DNA を抽出して鋳型とし、デンプン特性やタンパク質特性に関する各種プライマー存在下で PCR を行い、その結果に基づいて食味や物理特性を推定して選抜を行い、胚芽を有する残りの半粒で有望な次世代を育成することができる。 |
キーワード | 玄米半粒、DNA食味選抜、米飯物性 |
背景・ねらい | 米の食味判定は、従来、官能検査や物理化学的測定によって行われてきた。前者は、1試料量と時 間・労力を要する、2嗜好性の地域や個人による相違がある、等の問題があり、後者は、1精度が官 能検査に及ばない、2外観、味等の多面的評価が不可能、等の問題がある。そこで、本研究では、品 種特性の基本であるDNAに着目し、1普遍性があり、2微量試料で適用が可能、3成分、物性等の多 様な視点からの評価が可能、4精度が高い、という条件を満たす、米の食味の新評価・選抜手法を開 発した。 |
成果の内容・特徴 | 1.世界の各種の米試料からDNAを抽出・精製して鋳型DNAとし、各種のプライマー存在下でPCRを 行い、品種、物理特性、食味等の判別に有用なプライマーを開発する。 2.米から抽出・精製したDNAを鋳型とし、各種のプライマー存在下でPCRを行い、増幅された識 別バンドDNAの有無を、0または1と2値化することで数値化する。 3.数値化したPCR結果を説明変数とし、穀物検定協会の「食味評価値」、試験場段階の官能検査 結果、米飯物性の付着量やアミロース含量等の物理化学測定値等を目的変数として重回帰分析、 主成分分析等の多変量解析を行って作成する食味推定式や物性推定式は高い相関を示す(図1)。 4.一粒あるいは半粒の米から抽出・精製したDNAを鋳型とするPCR法の結果を用いて、米の食味 あるいは物理化学特性を評価・選抜することができる(図2)。例として、ハツシモとコシヒカ リを交配し、そのF2種子を用いて上記23の方法で主成分分析を行い、コシヒカリ型、ハツシ モ型、独立型等に分類することができる。 5.交配して得られる玄米または籾の無胚芽半粒で米飯の食味推定を行い、胚芽含有半粒で次世代稲 を育成してDNA食味選抜ができる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.育種研究者と連携協力して半粒良食味米選抜の実用化を図る。 2.DNAマーカーの増加と食味推定式の増加を継続する必要がある。 3.本技術は、市販米飯一粒のDNA判別による原料米の食味推定にも使用可能である。 |
カテゴリ | 育種 DNAマーカー 品種 良食味 |