タイトル | DNAコメットアッセイによる放射線照射食肉の検知 |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2003~2004 |
研究担当者 |
宇田渉(有)ユーワークス) 吉本 杉山純一 等々力節子 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 食品照射の線量範囲に適合したDNAコメットアッセイ用の画像解析ソフトを新規に開発し た。ガンマ線照射した食肉の判別に応用し、DNA コメット像を自動判定で迅速解析し、得 られた数値パラメータから、鶏肉および豚肉の照射の履歴の判定と線量推定ができる。 |
背景・ねらい | 近年、国外では牛肉や鶏肉の放射線殺菌が実施されているが、国内ではこれらの処理が禁止されており、 輸入食品の履歴保証の点から検知技術の確立が必要である。DNA コメットアッセイはスクリーニング法と して Codex分析法にも採用されている簡便な方法で、顕微鏡画像の肉眼観察で照射の推定が可能とされ ている。しかし、実際の検査への導入にあたっては、個々の細胞画像を解析して数値化し、統計処理して 記録・報告することが想定される。本研究では、DNA コメットアッセイにおいて、食品照射の線量範囲に 適合した、画像解析ソフトを新規に開発し、実際の照射食品(肉類)の判別に応用した。 |
成果の内容・特徴 | 1.開発したのは、殺菌に用いられる kGy オーダーの放射線照射の検出にも有効な、大きな DNA 搊傷を 検出できるアルゴリズムを搭載した、コメットアッセイ用の新規画像解析ソフトウエアである。 2.解析は、1画像の分析リストへの登録、2画像解析とパラメータ計算、3結果の保存の手順で進めら れる。100 枚以上の登録画像を一括処理後、全解析画像データの保存と計算パラメータを CSV 形式で書き出しが可能である。 3.画像解析アルゴリズムには、各細胞の DNA 領域とバックグラウンドの自動識別、DNA 中の核領域と搊 傷部領域の自動判別と中心位置の決定、核及び搊傷部の面積と輝度の積算が組み込まれ、その結果か ら細胞の全長(Total Length)やモーメント(Tail Moment)などの解析パラメータを推算する(図 1)。 4.凍結下で 0~5kGy範囲でガンマ線照射した豚肉及び鶏肉について、図2の手順でコメットアッセイ を行い、得られた顕微鏡画像の解析を行った。画像解析ソフトの導入により、各処理条件につき 100 枚の画像を 120 秒程度の速度で自動一括解析することができた。解析画像の例を示す(図3)。 5.解析パラメータ中、非照射 1kGy 以上の照射との差が大きい Total length は照射の判別に有効であり、 線量依存性が高い Tail Moment は、線量推定に有効である(図4)。 |
カテゴリ | 鶏 豚 |