タイトル | 糊化特性に基づく米の物性・老化性評価装置の開発 |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2004~2008 |
研究担当者 |
ジャパン) 井上茂(フォス 岡留博司 大坪研一 鈴木啓太郎 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 従来の糊化特性測定装置を改良し、最高粘度等の糊化特性値を説明変数とし、粘り等の米飯物性や低温保管後の米飯硬化度等を目的変数として多変量解析を行い、得 られた推定式を装置に組み込むことによって、米飯の硬さや低温保管後の老化度な どを直接表示できるような装置を開発した。 |
キーワード | 米、食味、老化性、糊化特性、評価装置 |
背景・ねらい | 消費者の良食味志向に応えるために米の食味を簡易迅速に評価する装置が必要とされている。また、 時間経過後に食べる社員食堂、学校給食等の大量炊飯や再加熱する市販弁当などでは、澱粉の老化の 遅い原料米が必要とされている。そこで、糊化特性値を統計処理して米飯物性及び老化性を直接表示 する評価装置を開発した(図1)。 |
成果の内容・特徴 | 米の食味には米飯の硬さや粘り等の物性が強く影響する。従来、米飯物性はテンシプレッサーやテ クスチュロメーターなどの物性測定装置を用いて測定されてきたが、炊飯して多数点の試料の物性を 測定し、統計処理するため、一日に数点しか測定できなかった。さらに、老化性は、炊飯後に米飯試 料を低温保管し、数時間~数日かけて食味官能検査や物性測定を行うため、時間と労力を要していた。 本研究では、従来の糊化特性測定方法(ラピッドビスコアナライザ-, RVA, 図2)を改良し、最高 粘度や最低粘度などの糊化特性値を説明変数とし、硬さや粘りなどの米飯物性や低温保管後の米飯の 硬化度などを目的変数として多変量解析を行い、得られた推定式を装置にソフトウエアとして組み込 むことによって、米飯の硬さや低温保管後の老化度などを直接表示できるようにした(図3, 表1)。 老化性推定式の一例を下記に示す。 RI=-0.105-0.0081×VMAX-0.0025×VMIN+0.035×VFIN ここで、RI:老化性指標、VMAX:最高粘度、VMIN:最低粘度、VFIN:最終粘度 1.精米試料を用い、糊化特性に基づいて米飯物性や炊飯後の老化度を推定できる装置である。 2.本装置は、試料は 3.5g精米粉末、測定時間は 19 分と、少量簡易迅速測定が可能である。 3.装置は従来より小型で安価であり、普及性が高い。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本装置は、農家にとっては生産した米の評価に、流通業界や食品産業にとっては対象米の評価や 用途の推定に利用することができる。 2.表示される数値の取り扱いについては、相関性は高いものの、あくまで推定値であり、官能検査 や物性測定装置による実測値ではないことに留意する必要がある。 |
カテゴリ | 良食味 |