ソフトエレクトロンを用いた貯蔵食品害虫の防除

タイトル ソフトエレクトロンを用いた貯蔵食品害虫の防除
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 2002~2006
研究担当者 宮ノ下明大
今村太郎
照射協力:株式会社NHVコーポレーション
等々力節子
内藤浩光(横浜植物防疫所)
林徹 くん蒸協力:小川昇
発行年度 2005
要約 ソフトエレクトロンは低エネルギーの電子線であり、これとホスフィンくん蒸を組
み合わせることにより、貯蔵食品害虫に対して高い殺虫率を得ることができる。
キーワード ソフトエレクトロン、貯蔵食品害虫、防除、臭化メチル代替技術
背景・ねらい 貯蔵食品害虫の防除は今まで大部分を臭化メチルくん蒸に依存してきた。しかしながら臭化メチル はオゾン層を破壊するおそれがあることから、モントリオール議定書に基づき2005年までに先進国で は検疫用、不可欠用途などを除いて廃止された。その代替手法として使用されているホスフィン(リ ン化水素)くん蒸では耐性害虫が出やすいという難点がある。こうした背景を受け、臭化メチルくん 蒸の代替技術として、低エネルギー電子線(ソフトエレクトロン)照射を食品害虫防除へ応用を検討 した。加速電圧 170kVソフトエレクトロンを照射に用いた。コクゾウムシ、アズキゾウムシ、ノシ メマダラメイガの加害した米、小豆にソフトエレクトロンを穀物表面の線量が 10kGy になるように照 射し、生存数を調査した。
成果の内容・特徴 1.穀物の内部を食べる害虫(コクゾウムシ:図1-a、アズキゾウムシ:図1-b)は一部生存したが、 外部を食べる害虫(ノシメマダラメイガ:図1-c)は完全に殺虫が可能である(図2)。
2.コクゾウムシ、アズキゾウムシではホスフィンくん蒸と組み合わせることにより、極めて高い殺 虫率を達成できた(図3)。その際、ホスフィンくん蒸は通常のくん蒸(2mg/L、4~6日間)よ り低い濃度(0.5 と 1mg/L)、短い処理時間(コクゾウムシでは 48 時間、アズキゾウムシでは 24 時間)で行った。
3.ソフトエレクトロンは低エネルギーの電子線であり、透過力が極めて小さいため、ガンマ線など と比べて大きな遮蔽を必要とせず、また穀物の内部の性質を変えない。
4.物理的な防除法であるため、薬剤耐性のリスクがない。
成果の活用面・留意点 ソフトエレクトロン照射により、穀物の外部を食べる害虫に対しては完全殺虫が可能である。穀物内部を食べる害虫はソフトエレクトロン照射のみでは生き残る場合があるが、ホスフィンくん蒸と 組み合わせることにより、ホスフィンくん蒸単独処理の場合よりも低い薬剤濃度、短い処理時間でほ ぼ完全に殺虫できた。今後はより低価格な照射システムを開発する必要がある。
成虫の出現率(%)
出現成虫数
成虫の出現率(%)
出現成虫数
カテゴリ 病害虫 害虫 防除 薬剤 薬剤耐性

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