ダイコンの品種による無機養分組成とワッカ症の発生、並びに病斑、生理斑の判定

タイトル ダイコンの品種による無機養分組成とワッカ症の発生、並びに病斑、生理斑の判定
担当機関 兵庫県立中央農業技術センター
研究期間 1997~1997
研究担当者 吉川年彦
桑名健夫
相野公孝
牧 浩之
発行年度 1997
要約 ダイコンワッカ症が発生しやすい品種ほど、ワッカ症のおもな発生場所である抽根部皮層のP含有率が高く、発生しにくい品種ほど、Ca、Si含有率が高い。また、リング部微細部Cl分布割合は明らかに周辺正常部よりも低い。
背景・ねらい  ダイコンワッカ症は青首系ダイコンの、おもに抽根部(地上に出ている緑色の部分)の表皮に直径0.5~1.0cmぐらいの褐色~黒色のリング状斑が発生する根面異常症(通称ワッカ症)である。本症の原因究明と対策試験は各地で行われており、これまでに、生育後期に発生し、品種によって発生程度が異なるなどの発生実態や生育初期の殺菌剤の散布により防除効果が高いことなどが明らかにされてきた。また、白さび病菌の接種により本症が再現できたという報告もある。ここでは、本症の原因解明のために、作物栄養診断の立場から、無機養分組成と本症発生との関係を検討する。同時に、X線マイクロアナライザーによる斑点部分の微細部Cl分布割合を周辺正常部と比較する手法(病斑ならば、Cl分布割合が顕著に低い)を用いて本症が生理斑か病斑かを判定する。
成果の内容・特徴
  1. ダイコン産地のほ場で、ワッカ症に対する品種比較試験(YRくらま、耐病総太り、役者横丁の3品種を供試) を実施したところ、収穫したダイコンのワッカ症の発生程度は、役者横丁〉耐病総太り〉YRくらまの順で品種間差が大きい(表1)。
  2. 品種別部位別 (葉部、抽根部の皮層と内部、地下部の皮層と内部の5つの部位を分析) に無機養分含有率を検討すると、ワッカ症の発生しやすい品種では、抽根部皮層のP含有 率が高く、発生しにくい品種では、CaやSi含有率が高い(表1)。
  3. X線マイクロアナライザーで、ワッカ症状部位の微細部分の元素分布を測定すると、リング部およびリング内のCl分布割合は、周辺正常部の約1/3~1/2である。また、電子線を絞ったリング部の極小微細部のCl分布割合は、さらに極端に低い。これらは、病斑の場合に認められる傾向である(表2)。

成果の活用面・留意点
  1. ダイコンワッカ症の原因究明のための基礎的知見となる。
  2. ダイコンの抽根部皮層の無機分析結果から、ワッカ症に対する抵抗性が推測できる可能性が示唆される。表皮の抵抗性を考慮したダイコンの育種が望まれる。

図表1 210455-1.gif
図表2 210455-2.gif
カテゴリ 肥料 病害虫 育種 栄養診断 だいこん 抵抗性 品種 防除

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