in vitro grafting を用いたボタンの培養系

タイトル in vitro grafting を用いたボタンの培養系
担当機関 島根県農業試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者 松本敏一
発行年度 1999
要約 ボタンの培養系を開発するため、in vitro grafting(試験管内接ぎ木)を検討した。台木用シャクヤクの胚を培養して得られた実生の子葉基部の芽をくさび状に切除してその部分にボタンの芽を接ぐことで、活着個体が得られる。
背景・ねらい  島根県の県花であるボタンは主として八束町で栽培されており、全国一のシェアーを占めている。しかし、ボタンは発根が困難で培養系が確立されていない作物であるため、突然変異体が得られても短期間に増殖することが困難で、また遺伝子組換えや細胞融合等による品種改良ができないのが現状である。そこで、in vitro graftingによる培養系を検討する。
成果の内容・特徴
  1. ボタン腋芽の生育については、固形培養でゼアチン1.0及び2.0mg/l添加が良く、葉が肥大する異常個体の形成も少ない。また、2.0mg/l添加では増殖した株数も多い(表1)。
  2. in vitro graftingには、台木用シャクヤクの種子から無菌的に摘出した胚をボタンと同じ培地で培養し、子葉基部が直径3-4 mmで十分根が伸長した個体を用いる。穂木には、基部の直径2-3 mm、長さ10 mm程度のボタンの頂芽を用いる。台木の子葉展開基部に存在する芽をくさび状に切除してその部分に基部をくさび状に調整したボタンの芽を接ぐ方法においてのみ、接合部でカルスが形成され穂木の伸長が見られる(図1)。
  3. 2,000ppmの炭酸ガス施用により接ぎ木後の穂木の生存率が高くなる(表2)。接ぎ木後に穂木が枯死する一因である乾燥を防止するために接ぎ木処理後2週間、接合部分の一部に培地が接するようにすると、カルスの形成が促進され生存率が高くなる(表2)。

成果の活用面・留意点
  1. 新品種として有望な突然変異体が得られた場合、短期間に増殖することが可能となる。
  2. 遺伝子組換えや細胞融合等による品種改良についても応用することができる。
  3. 接ぎ木方法が煩雑であるためスケールアップのためには改良の必要がある。

図表1 210920-1.jpg
図表2 210920-2.jpg
図表3 210920-3.jpg
カテゴリ 乾燥 しゃくやく 新品種 台木 接ぎ木 品種改良 ぼたん

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