タイトル | 青果物に貼付したICタグの通信性能 |
---|---|
担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
中野茂 今泉清(大日本印刷㈱) 佐藤和憲 唐崎卓也 河野恵伸 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 青果物に貼付する情報伝達媒体としてISO/IEC15693に準拠したICタグを利用する場合、主要な青果物の一般的な包装形態への貼付であれば、所定の通信距離を安定的に維持できる。 |
キーワード | ICタグ、青果物、情報伝達媒体、トレーサビリティ、通信距離 |
背景・ねらい | ICタグはトレーサビリティシステムの情報伝達媒体として注目されているが、青果物はその形状及び包装形態が多様であることから、電磁波で通信するICタグが十分な通信性能を発揮できるか否かが問題となる。そこで、代表的な青果物の主要な包装形態を対象として、電磁誘導タイプのICタグ(ISO/IEC15693、13.56MHz・近傍型)を用いて、その貼付位置を変化させながらICタグとリーダーとの間の最大通信距離を計測し、利用可能性を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. トマト(2個入りPP袋)、ダイコン(直貼り)、コマツナ(開放型PP袋)、キャベツ(結束テープ)を対象として、アンテナ面積の異なる3種のICタグ(図1)を粘着ラベルに加工して貼付し、リーダー装置(ISO15693準拠・FEIG社MR100-A(出力1W)、アンテナID ISC.ANT340/240、通信可能距離300mm)に対するICタグの位置を供試青果物の正面、裏面、横面と変化させて、ICタグとリーダーとの間の最大通信距離を計測する(図2)。 2. 小型ICタグ(大日本印刷㈱ACCUWAVE(使用チップI-CODE1)、ラベル面積35×16mm、うちアンテナサイズ28×12mm)は、正面に貼付した場合は、何れの青果物とも通信可能であるが、裏面の場合はキャベツのみ、横面の場合は全て通信不可能である(図3)。また、通信距離は、正面の場合は、トマト30~40mm、ダイコン50~60mm、である。裏面の場合は、キャベツを除いて70mm程度で通信可能である。 3. 中型ICタグ(大日本印刷㈱ACCUWAVE(使用チップmy-d・SRF55V02P)、ラベル面積48×48mm、うちアンテナサイズ45×45mm)は、正面及び裏面に貼付した場合は何れの青果物でも通信可能であるが、横面の場合は全て通信不可能である(図4)。また、通信距離は、正面の場合は、キャベツ以外は200mm程度、キャベツで150~170mmである。裏面の場合は、全ての包装形態について200mm程度で通信可能である。 4. 大型のICタグ(大日本印刷㈱ACCUWAVE(使用チップI-CODE SLI)、ラベル面積86×54mm、うちアンテナ面積76×45mm)は、正面及び裏面に貼付した場合は何れの青果物も通信可能である(図5)。さらに、横面の場合もトマトやコマツナで通信が可能である。また、通信距離は、正面及び裏面で300mm~350mmである。 5. 以上のように、ISO/IEC15693に準拠したICタグ、特に中型及び大型タグは、貼付位置が正面又は裏面の場合、青果物の種類・包装形態に拘わらず、安定した通信距離を維持できる。ただし、アンテナ面積によって通信距離とその安定性は異なる(アンテナ面積が広いほど通信距離が長く安定している)。 |
成果の活用面・留意点 | ISO/IEC15693準拠のICタグは青果物に貼付しても十分な通信性能を発揮でき、トレーサビリティシステムの情報伝達媒体として利用可能とみられる。ただし、現場で用いる場合には磁気遮蔽物の有無等の環境を考慮する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
カテゴリ | ICタグ 加工 キャベツ こまつな だいこん トマト |