タイトル | 法面等の雑草鋤込み・露地ビニルマルチによる土壌物理性改善と雑草発芽抑制 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
堀 兼明 福永亜矢子 須賀有子 池田順一 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 法面等から刈り取った風乾雑草500kg/10aを露地畑に浅く鋤込み、夏季に3週間程度露地ビニルマルチ処理により一定の高地温条件を満たすと、粘質土壌の土壌物理性が改善でき、雑草の種子発芽を抑制できる。5cm深の地温は最寄りの地点の気象観測データなどから予測できる。 |
キーワード | 雑草鋤込み、ビニルマルチ、雑草、発芽抑制、太陽熱利用、地温、物理性改善 |
背景・ねらい | キャベツの省力生産技術体系の確立においては、 |
成果の内容・特徴 | 1. 鋤込んだ雑草(500kg/10a)の種子は、夏季3週間のビニルマルチを用いた太陽熱利用処理により、著しく発芽が抑制される。この際、ビニルマルチのみでも顕著な効果が認められるが、米ぬかまたは石灰窒素の併用によって更に効果が高まる。また、石灰窒素を併用した場合はマルチ除去時に硝酸態窒素は残存しないが、米ヌカ併用、雑草のみでは硝酸態窒素が4~5mg残存するので、窒素減肥が望ましい。(表1) 2. 雑草を鋤込み、ビニルマルチ処理を行った区では、窒素資材の併用の有無に関わらず粗孔隙が増加し仮比重が低下するなど粘質土壌の物理性が改善される(表1)。 3. 試験圃場のビニルマルチ区の5cm深の地温は、最寄りの気象観測データにより、4変数(気温、湿度、日射、風速)を用いた重回帰式で有意に(R*=0.89)推定が可能である(表2)。 4. 近中四農研センター野菜部圃場内で、ビニルマルチによる雑草発芽抑制効果が大きかった試験圃場と処理時期が異なったために発芽抑制効果が小さかったY圃場とを比較すると、最高気温30℃以上の日数、気温30℃または33℃以上の積算時間などには違いが認められないが、日照時間の積算時間及び地温の45℃以上の日数とその積算時間は、雑草の発芽抑制効果が大きい試験圃場の方が長い(図1、表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 法面等から刈り取った雑草を有機物資源として積極的に利用するための基礎資料として活用する。 2. 最寄りの地点の気象データからマルチ処理期間の5cm深の地温を推定して、雑草発芽を確実に抑制する条件を満たす必要がある。 3. 充分な地温上昇は土壌表層であるので、雑草種子発芽抑制効果を維持するために処理後は耕起しないで、移植・播種を行う。 4. 鋤き込んだ雑草は、メヒシバ、ホトケノザ、ギシギシ、タンポポ等を主とした混合物(C/N=16)であり、鋤込み量は500kg/10aで、鋤込み深さは10cmである。発生した雑草はメヒシバ、タイヌビエが主なものであった。 5. 各種雑草種子の発芽能がなくすために必要な地温とその継続時間については引き続きデータを集積する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 病害虫 キャベツ 雑草 播種 マルチ除去 |