小売店舗における消費者の農産物購買行動に関する分析方法

タイトル 小売店舗における消費者の農産物購買行動に関する分析方法
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2002~2005
研究担当者 大浦裕二
梅本雅
山本淳子
中嶋直美(茨城県)
河野恵伸
発行年度 2005
要約  アイカメラを用いた視線移動軌跡分析法と、ICレコーダーによるプロトコル法を組み合わせて、消費者が小売店舗で商品選好の際にどのような情報を認知し、評価しているかを把握・解析する方法を策定した。
キーワード アイカメラ、視線移動軌跡分析法、プロトコル法、農産物購買行動
背景・ねらい  産地が小売店舗においてPOPの工夫等による効果的な販売促進を行うには、商品選好の際に消費者がどの情報に注目しているかを把握する必要がある。しかし、従来の視線移動軌跡分析では、視点の位置のみを把握するにすぎず、また、購買時の発話からは限られたデータしか得られないという問題があった。そこで、アイカメラによる視線移動軌跡分析法と、プロトコル法を組み合わせた商品選好に関わるデータ収集方法を開発するとともに、購買行動時に消費者が実際にどの情報を認知・評価したかを解析する方法を策定する。また、この方法による一般スーパーと高級スーパーの購買行動の比較分析結果を提示する。
成果の内容・特徴 1.
視線移動軌跡及び発話のデータ収集は、(1)モニターを選定、(2)被験者にアイカメラとICレコーダー装着し調査手順を説明、(3)被験者はアイカメラを付けて買い物の際に思ったことを発話をしながら購買を実施、(4)買い物終了後レジで精算、(5)アイカメラ画像を再生しながら商品選好時の発話を求めその内容を録音、という手順で行う(表1)。
2.
収集したデータの解析は、(6)視線移動軌跡パターンから瞬間視と注視に区分(図1)、(7)注視データから視線が届いている回数を属性別に把握、(8)発話内容を商品情報に対する発話と、そこから想起された発話に区分、(9)注視された情報と発話された属性を対応させながら、消費者の購買行動の特徴を整理、という手順で行う(表1)。
3.
被験者に視線移動軌跡画像を提示しながら再度発話を求めることで、商品選好に係る認知や評価に関するデータをより多く収集できる。また、被験者の注視データのみを取り出し、それと発話内容とを比較することで、消費者が視覚を通してどの情報を実際に認識し、そこから如何なる心象を感じたかという商品への知覚の状況を把握できる。
4.
二種類のスーパーでの購買行動調査によれば、一般スーパーでは主に価格、産地、量目・サイズが、高級スーパーでは、価格の他、産地やレシピが注視されている(表2)。また、それら情報に加え、一般スーパーでは用途や保存性、高級スーパーでは嗜好や旬、珍しさに関する発話がなされている(表3)。すなわち、一般スーパーでは、価格、産地、量目・サイズを注視し、そこから使い方を検討するなど、経済性や用途を重視しているが、高級スーパーでは、価格を注視しつつ、さらに嗜好などにも思いが至っている。
5.
このように、アイカメラによる視線移動軌跡分析法とプロトコル法を組み合わせた分析方法を用いることで、同じ青果物の購入においても、商品選好の際に、表示された属性に対して消費者が認知及び評価している情報は店舗間でかなり異なることが分かる。
成果の活用面・留意点 1.
アイカメラは、レンタル方式で利用することができる。但し、視点データを正確に捕捉するためには、機械の装着方法等に関するノウハウを習得する必要がある。
2.
購買行動調査は、高級スーパー2005年7月、一般スーパー2004年11月に実施した。
図表1 211532-1.gif
図表2 211532-2.gif
図表3 211532-3.gif
図表4 211532-4.gif
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