タイトル | 品目横断的経営安定対策に対応した経営意思決定支援システム |
---|---|
担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2005~2006 |
研究担当者 |
山本淳子 大石亘 梅本雅 |
発行年度 | 2006 |
要約 | 財務諸表データと規模・単収などの計画値を入力することで、品目横断的経営安定対策下での黄ゲタ・緑ゲタの計算や、月別キャッシュフローの把握、収益性・財務安全性など財務指標の推計、最適な経営計画の試算が行える経営意思決定支援システムである。 |
キーワード | 品目横断的経営安定対策、経営意思決定支援システム、財務指標 |
背景・ねらい | 品目横断的経営安定対策の施行に伴い、担い手の育成や、認定農業者の経営改善に向けた支援が重要な課題となっている。しかし、生産条件不利補正対策の導入により生産量・単価に比例した収支計算はできなくなり、また、資金繰りにも大きな変化が生じることから、農業経営者は、戦略遂行に当たっての判断が困難となっている。そのため、自経営の投資計画や財務内容を基に今後の経営計画に関するシナリオを設定することで、計画期間における新制度の下での経営収支(緑ゲタ、黄ゲタ)や、財務指標値を推計するとともに、最適経営計画も試算できる経営意思決定支援システムを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1.本システムは、マイクロソフトエクセルによる全33枚のシートから構成されており(表1)、対象事例の経営改善資金計画書、損益計算書、貸借対照表、機械施設装備、労働時間等のデータを入力し、分析シナリオ(面積・単収・単価)を設定すると、計画期間(5年間)を対象に、品目横断的経営安定対策下での経営収支、月別キャッシュフロー、財務内容、財務指標(表2)の推計値が自動的に計算、表示される。 2.作物別月別売上高は、シナリオで設定した作物別面積・単収・単価や、販売管理による月別収入割合、及び新制度の助成金の交付時期に連動しており、資材費も面積に対応して変化する。また、年次や借入金の返済計画に応じて、損益、資産(減価償却費)、借入金残高が変わり、これらを基に各年次の損益計算書と貸借対照表を作成する。 3.品目横断的経営安定対策における政策的支援額(緑ゲタ、黄ゲタ)の計算式が組み込まれており、生産実績等を入力すると、新制度の下での収入が計算される(表3)。 4.販売管理の内容や新制度施行に伴う月別のキャッシュフローが計算されることで、必要運転資金額の目安となるキャッシュフロー累積額が把握できる(表4)。 5.最適な経営計画を簡易に計算できる営農計画モデル活用支援プログラムBFMを用いることにより、計画初年度と最終年度の最適経営計画の計算や、それら作付面積に対応した新制度下での経営収支の把握が行える。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本システムは、主に土地利用型の法人経営を対象に作成している。 2.制度資金(近代化資金、スーパーL資金)の融資を得るために経営改善資金計画書を作成している経営では、その様式や決算書のデータを本システムの入力に活用できる。 3.本システム及びその利用マニュアルは、中央農業総合研究センターのウェブサイト(http://narc.naro.affrc.go.jp/team/fmrt/index.htm)からダウンロードできる。なお、経営計画手法を適用するには、BFM及びXLPを事前にインストールしておく必要がある。 4.品目横断的経営安定対策については、本システムでは生産条件不利補正対策を中心に試算を行うことから、収入減少影響緩和対策の効果試算や、市町村別緑ゲタ単価の自動的な読み込みなど、より詳細な分析が行える「品目横断的経営安定対策試算システム汎用版」を作成し、ホームページからダウンロードできるようにしている。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 経営管理 |