畑地における窒素溶脱解析ツールSOILN-jpnの開発

タイトル 畑地における窒素溶脱解析ツールSOILN-jpnの開発
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2003~2007
研究担当者 井原啓貴
駒田充生
高橋茂
前田守弘
発行年度 2007
要約  さまざまな肥培管理での窒素溶脱を容易に予測できる窒素溶脱解析ツールSOILN-jpnを開発した。これにより、アンモニア肥料あるいは堆肥を施用した黒ボク土畑圃場から溶脱する浸透水中硝酸性窒素濃度の推移が10年間にわたって推定できる。
キーワード 窒素溶脱、硝酸吸着、堆肥、有機物分解、シミュレーション
背景・ねらい  作物生産を保証しつつ環境と調和した肥培管理技術を確立するためには、さまざまな肥培管理シナリオのもとで窒素溶脱等を数年間予測できる数値シミュレーションモデルが有用である。しかし、わが国では該当モデルの開発は遅れており、欧米モデルは研究者向けのものが多く、操作に熟練を要する。そこで、利用実績の高い窒素動態詳細モデルSOILNをわが国の土壌・作物・資材特性に合わせて改良し、操作性に優れた窒素溶脱解析ツールSOILN-jpnを開発する。
成果の内容・特徴
  1. SOILN-jpn では、変更の必要度に応じてパラメータと変数を3分類して管理することにより、操作性と機能性を両立した(図1、表1)。また、黒ボク土に特異的な硝酸吸着能をフロイントリッヒ型吸着式を用いて編入した。さらに、有機物画分を易分解(反応速度定数2×10-2 d-1)、中位分解(2×10-3 d-1)、難分解(2×10-4 d-1)、腐植(4×10-5 d-1)に分け、資材有機物は易~難の3画分、土壌は中位~腐植の3画分に配分する。
  2. SOILN-jpnでは深さ1mを溶脱面とし、領域内の水、窒素、熱の鉛直移動を計算する。土壌の理化学性や窒素含有量の初期値は0~0.2、0.2~0.4、0.4~1mの土層毎にそれぞれ与える。SOILN-jpnの動作に必要なデータセットは表1の通りである。
  3. シミュレーション結果の詳細はMS-Excelのワークシートに出力し、水収支、窒素収支、土壌および浸透水窒素濃度はグラフ表示する。
  4. 黒ボク土のモノリスライシメータにアンモニア肥料、牛ふん堆肥を連用して、トウモロコシ、コマツナ、ホウレンソウを2年半にわたって栽培した結果を用いて、SOILN-jpnに必要な硝化・脱窒特性値、土壌有機物画分割合等のパラメータを較正したところ、浸透水の硝酸性窒素濃度をほぼ再現できた。(図2)
  5. アンモニア肥料、豚ぷん堆肥を10年連用した別圃場に対して、較正パラメータを用いてSOILN-jpnを検証したところ、それぞれの資材施用の影響を受けて、深さ1 mの土壌溶液硝酸性窒素濃度が上昇し始める時期やその後の推移を推定できた。(図3)
成果の活用面・留意点
  1. SOILN-jpnは当チームのHP上で公開され、ユーザ登録すれば誰でも利用できる。
  2. 資材データベース等の拡張と他の土壌タイプでの検証により、営農現場における環境保全型肥培管理技術の導入促進に活用できるシステムへの発展が可能である。
  3. SOILN-jpnの計算コードは、SOILNの拡張アプリケーションであるCOUPModel(スウェーデン王立工科研究所開発)を利用した。
  4. 土壌浸透水の選択流は考慮していない。
図表1 211657-1.gif
図表2 211657-2.gif
図表3 211657-3.gif
カテゴリ 肥料 機能性 こまつな データベース とうもろこし 肥培管理 ほうれんそう

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