タイトル |
耕うん同時畝立て播種作業機によるダイズの畝立て密植栽培技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2006~2010 |
研究担当者 |
細川 寿
片山勝之
大嶺政朗
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発行年度 |
2007 |
要約 |
耕うん同時畝立て播種作業機のロータリ両端耕うん爪配列を内向きにし、畝幅150cm以上の平高畝を作りながら同時に3条以上のダイズを播種する作業技術である。一工程で耕うんから播種までの作業を行い、畝立てによる湿害軽減と密植により収量が増加する。
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キーワード |
ダイズ、耕うん同時畝立て、湿害軽減、密植
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背景・ねらい |
北陸地域等の低湿で重粘な土壌におけるダイズを対象として、70~80cm程度の条間で耕うんと同時に畝立て、施肥、播種を行う作業機で、湿害を軽減して収量を増加させる技術を開発した(H15成果情報)。さらにより省力的な作業方法として中耕培土作業を省略し、しかも安定的に収量を得るための技術開発が必要である。そこでロータリの爪配列を変更して幅の広い畝を作り、平均条間を狭くした播種作業方法により、湿害を軽減することによる収量安定、密植による収量増加技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 耕うん同時畝立て播種作業機(ホルダー型アップカットロータリ)の両端の爪(耕うん幅約30cm)を内向きにする爪配列に変更することにより、畝高さ約10cmの1つの平高畝を作ることができる(図1)。作業機の後方に施肥播種機を取り付けているため、耕うんと同時に畝立てと施肥・播種を一工程で行うことができる。耕うん幅160cmと170cmでは3条または4条播種、耕うん幅220cmでは5条播種可能な構造である。
- 150cm平高畝密植栽培時の生育期間中における深さ約5cmの土壌体積含水率は、平播き栽培に比べて低下するため、湿害が軽減できる(図2)。
- ダイズの収量は、北陸研究センター(新潟県上越市)で2年間、新潟県、石川県の現地で1年間、長野県の現地で3年間実施した試験では、平播き栽培(長野県では狭畦栽培、他は75cm条間栽培)に比べ、14圃場21データの内、8割以上で収量の増加が認められる(図3)。
- 耕うんから播種までの作業能率は、耕うん幅170cmの作業機で約1ha/日である。中耕培土作業の省略により、都府県田作(5ha以上)平均中耕除草時間2.29h/10a(H16労働時間の27%)を減少させることが可能となる
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成果の活用面・留意点 |
- 排水が不良で、湿害が発生しやすい地域のダイズ栽培で効果が期待できる。
- ロータリ作業機は、2006年5月から(株)松山より販売されている。
- 2007年3月に長野県の新しく普及に移す技術に選定されている。
- 平播きの標準播種に比べると主茎長が長くなり、耐倒伏性の低い品種では倒伏程度が大きくなる。倒伏防止のため最適栽植密度、適応品種等の検討が必要である。
- 除草剤の適切な散布等による雑草の抑制が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
狭畦栽培
栽培技術
雑草
湿害
除草
除草剤
施肥
大豆
播種
品種
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