タイトル |
耕うん同時畝立て播種機を利用した飼料用トウモロコシの湿害軽減技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
細川 寿
菅野 勉(畜草研)
澤村 篤(畜草研)
住田憲俊(畜草研)
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発行年度 |
2008 |
要約 |
飼料用トウモロコシは、生育期間中の地下水位が-40cm以上になる日数割合が増加すると収量が低下する。耕うん同時畝立て播種機で畝立て栽培を行うと、土壌水分が低下し、収量が増加する。湿害を受けて低収量の圃場ほど畝立てによる増収効果が大きい。
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キーワード |
飼料用トウモロコシ、耕うん同時畝立て、湿害軽減、地下水位
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背景・ねらい |
飼料用トウモロコシ作付け面積の12%は水田転換畑での作付けであり、湿害に弱いために、排水性が悪い転換畑では収量が低下する場合がある。一方大豆等においては湿害軽減技術として耕うん同時畝立て播種作業技術が開発されており、普及が進みつつある。そこで耕うん同時畝立て播種技術を飼料用トウモロコシに応用することにより、降水量や土壌条件等に影響されずに安定的に栽培可能な技術を開発し、湿害圃場における収量増加技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 2006~2008年の3年間、地下水位の異なる北陸研究センター(新潟県上越市)等の圃場(約20ヵ所)で、飼料用トウモロコシの慣行(平播き)栽培を行ったデータでは、生育期間中の圃場面からの地下水位が-40cm以上となる日数の割合が多くなると、収量が低下する(図1)(条間約75cm、株間約19cm、以下畝立ても同じ)。
- 耕うん幅160cmの耕うん同時畝立て播種作業機(ホルダー型アップカットロータリ)を使用し、爪配列を組み換えると、75cm畝×2条と150cmの平高畝(条間75cm、2条播種)を作ることができる(図2)。作業機の後方に施肥播種機を取り付けると、耕うんと同時に畝立てと施肥・播種を一工程で行うことができる(図2)(平成15年度研究成果情報)。施肥量を多くする場合は、施肥部ユニットの追加等を行う。畝高さはロータリの均平板の位置により調節することができる。 畝高さを中(5~10cm)、高(10~15cm)とした時の畝形状別の地表面から深さ約5cmの体積含水率は、75cm畝高が最も低く、続いて150cm畝高<75cm畝中<慣行(平播き)の順で低くなる(図3)。
- 75cm畝、150cm畝と慣行(平播き)との収量を比較すると、150cm畝では収量増加効果のバラツキが大きく、75cm畝の方が安定した効果が認められる(データ略)。
- 75cm畝の畝高さと収量増加効果は、単年度では畝が高い方が収量増加効果の高い場合が認められるが(データ略)、2006~2008の3年間では、畝高さによる増収効果への影響はほぼ同じで、慣行(平播き)栽培の収量が低い時ほど、畝立てによる増収効果が認められる(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 排水が不良で、湿害が発生しやすい地域の飼料用トウモロコシ栽培で増収効果が期待できる。
- 耕うんから施肥・播種までの作業能率は、耕うん幅160cm(条間75cm×2条)の作業機で約1ha/日以上である。 耕うんと同時に畝立てができるロータリ作業機は、(株)松山より販売されている。
- 明渠等を施工して圃場の排水性を高め、表面水がなくできるだけ土壌含水比が低い状態で作業を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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図表8 |
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カテゴリ |
湿害
飼料用作物
水田
施肥
大豆
とうもろこし
排水性
播種
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