タイトル |
耕種及び酪農経営における自走式細断型飼料イネ専用収穫機の導入効果 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2004~2008 |
研究担当者 |
千田雅之
大石亘
田口光弘
井尻勉
石田元彦
石川哲也
設楽秀幸(埼玉県農総研)
新井守(埼玉県農総研)
弓野功(茨城県農業総合センター)
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発行年度 |
2008 |
要約 |
稲発酵粗飼料の自走式細断型飼料イネ専用収穫機は、収穫ロスが少なく、梱包密度の高い良品質の稲発酵粗飼料を生産して、生産を担う耕種経営と利用する酪農経営の双方の収益を増大させ、両経営で構成される耕畜連携の強化と安定化を図ることができる。
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キーワード |
稲発酵粗飼料、自走式細断型飼料イネ専用収穫機、酪農経営、経営的評価
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背景・ねらい |
稲発酵粗飼料の定着に不可欠な、収量・品質の向上やコスト削減を可能とする新たな技術の1つとして、自走式細断型飼料イネ専用収穫機(以下、細断型収穫機という)が開発された。この細断型収穫機の導入効果を明示して、その導入の促進に資する。飼料イネを栽培して稲発酵粗飼料に調製する耕種経営、及び稲発酵粗飼料を利用する酪農経営の営農計画モデルを作成して、稲発酵粗飼料を生産・利用する経営に及ぼす導入効果を、従来のフレール型収穫機と新しい細断型収穫機の場合について比較する。
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成果の内容・特徴 |
- 細断型収穫機では、従来機と比較してロールの梱包密度が高くサイレージ品質が良くなり、牛の嗜好性が向上する。また、ロールサイズが大きい等のため、作業能率が向上する。さらに、収穫ロスが少なく実収量が向上する(表1)。
- 試算のための営農計画モデルは、米麦二毛作地域における耕種経営及び酪農経営を想定して作成したが、酪農経営は経産牛頭数規模により20頭規模と30頭規模の2類型、耕種経営は水田経営面積規模により8ha規模と16ha規模の2類型を設定した。
- 各経営が所得最大化を追求する結果、フレール型による飼料イネの生産・利用で酪農経営は大幅な収益増加を実現し、耕種経営が受ける収益増加は酪農経営に較べると少額にとどまる。細断型の利用により各経営の収益はさらに増加するが、この収益増加は耕種経営では収量増大がその要因であり、酪農経営では嗜好性が向上して他の粗飼料より安価な稲発酵粗飼料の給与量が増加することが要因である。耕種経営の16ha類型で飼料イネ生産が少ないのは、省力的な小麦が相対的に有利であることに因る(表2)。
- 細断型収穫機の導入は酪農経営の稲発酵粗飼料利用を促進するとともに、耕種経営と酪農経営における一層の収益増大をもたらすことにより、両経営群で構成される耕畜連携の強化と安定化を図ることが期待できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 稲発酵粗飼料の生産に細断型収穫機を導入するか否かを検討する際に活用できる。
- 飼料イネのダイレクト収穫を対象とする評価である。
- 助成措置として、耕種経営に産地づくり交付金43千円/10a、耕畜連携(稲発酵粗飼料生産)13千円/10a、二毛作奨励(県単)7千円/10a、酪農経営に給与助成(稲発酵粗飼料)10千円/10a、耕畜連携(堆肥還元)13千円/10a、運搬助成(フレール型500円/個、細断型900円/個)を前提条件としている。
- 各収穫機は開発されて日が浅いため、その耐久性及び修繕費についてのデータは把握できなかったので、試算では考慮されていない。また、収穫機の整備が適正になされ、圃場での作業が順調に進行することを想定している。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
コスト
収穫機
水田
二毛作
乳牛
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