タイトル |
乳牛舎用ゴムチップマットレスによる牛床改善効果 |
担当機関 |
北海道立根釧農業試験場 |
研究期間 |
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研究担当者 |
稲野一郎
高橋圭二
竹中秀行
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発行年度 |
1997 |
要約 |
ゴムチップマットレスには、ゴムチップばら詰め方式と、シート被覆した筒状方式とがあり、いずれの構造のマットレスでも、つなぎ牛舎およびフリーストール牛舎に設置して、牛床横臥頭数、牛床横臥時間割合、平均連続横臥時間などを高めることができる。
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背景・ねらい |
フリーストール牛舎では牛床利用率を向上させるために、さまざまな牛床構 造が開発利用されている。牛床は適度な柔軟性があり、表面が乾燥し起立横臥 動作に障害とならないことが求められている。ゴムチップを充填したマットレ スはこれらの条件を満たす構造の一つであり、自家施工が可能なゴムチップば ら詰め方式と、表面をシートで被覆する筒状方式とがある。 本試験では、ゴムチップマットレスの構造と耐久性、およびゴムチップとシ ートの素材特性を検討するとともに、乳牛の牛床横臥率を高め牛体汚染等を防 ぐために、マットレス設置前後での乳牛行動解析によりマットレス設置による 牛床改善効果を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- ゴムチップマットレス用被覆シートの強度は引っ張り破断強度が185×
185kgf/3cm(カタログ値)以上で、かぎ裂きしにくく裁断面の糸がほつれないも のが望ましい。
- ゴムチップばら詰め方式のマットレス利用5か月後の牛床後部のゴムチッ
プ水分は防水区で1.8%、防水がない区ではふん尿の混入により16.0%と高 く、ゴムチップマットレス用被覆シートには防水性が必要である(表1)。
- 被覆シートをしない試作筒状マットレスの単独設置では連続使用は難しい
が、表面に防水性シートで被覆することにより内部の汚染が防止されるので十 分利用が可能である。
- つなぎ牛舎では、乳牛の起立横臥パターンは管理作業に制約され、マット
レス設置前後で大きな変化はみられないが、マットレス設置により横臥時間が のびる傾向がみられる(表2)。
- フリーストール牛舎では、ゴムチップマットレス設置により平均横臥頭数
および横臥時間割合が増加する。連続横臥時間も設置前48分から設置後73分へ 延長されマットレス設置により高い牛床改善効果が期待できる(表3)。
- 粒状および粉状ゴムチップばら詰めマットレスの設置直後での牛床利用状
況は、粒状の方が横臥時間割合が高く、半年利用後の平均横臥時間割合は設置 直後の42.6%から46.0%に増加しており、粉状、粒状にかかわらずゴムチップ マットレスによる牛床改善効果は維持できる(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 脚に付いたふん尿を除去するため、マットレス設置牛床でも少量の敷料が
必要である。
- つなぎ牛舎の場合にはカウトレーナ等によりふん尿が牛床上に落下しない
ように管理し、敷料の交換、ふん尿の除去等基本的な牛床管理を実施する。
- 既存牛舎にマットレスを設置する場合には、設置後の隔柵高さ、ネックレ
ール位置等の調整をしマットレス設置により乳牛の横臥空間が制約されないよ うにする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
乳牛
のびる
ばら
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