タイトル |
チモシー基幹草地の集約放牧技術と牛乳の栄養成分 |
担当機関 |
土壌肥料科 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
芹川慎
原悟志
高橋雅信
酒井治
小関忠雄
扇勉
糟谷広高
藤田真美子
堂腰顕
八田忠雄
宝示戸雅之
澤田嘉昭
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発行年度 |
1997 |
要約 |
根釧地方におけるチモシー基幹草地は極早生品種を除き少なくとも6年間放牧利用が可能である。昼夜放牧牛の放牧草摂取量は牧草サイレージ2㎏DM給与時12.4㎏、無給与時14.5㎏である。試験結果から乳量9千㎏乳牛のための飼料給与例を示した。昼夜放牧牛であっても繁殖成績は良好である。牛乳栄養成分は放牧によりビタミンE、βカロチン含量は高まる。
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背景・ねらい |
根釧地方に適したチモシー品種の永続性と利用方法を示すとともに、放牧草の栄養価と放 牧草摂取量を明らかにし乳量水準9000㎏に必要な併給飼料構成を提示する。また、昼夜放牧 牛における養分充足、繁殖性および生産病との関連性および放牧牛乳の栄養成分を明らかに する。
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成果の内容・特徴 |
- チモシー基幹の放牧専用および兼用草地では、「ノサップ」、「キリタップ」、「ホクシュウ」
は極早生種の 「クンプウ」に比べてチモシー割合が70%以上と高く、雑草割合は30%以下と低い ことから、こ3品種は少なくとも6年間の放牧利用が可能と考えられる(図1)。
- 放牧専用地は年間放牧回数8回、乾物収量563㎏/10a、1番草採草後放牧する兼用地では4
回、 197㎏/10aである。放牧専用地、兼用地とも放牧圧0.25頭/ha程度で適正な条件で放牧が で き、放牧草の栄養価は一般的な貯蔵粗飼料よりも高い。
- 放牧草摂取量は、牧草サイレージDM2㎏給与区で12.4㎏、無給区で14.5㎏であった。泌乳前
期乳量・乳脂肪率は牧草サイレージ給与区で36.4kg/日、3.44%、無給与区で37.5kg/日、 3.33% であった。泌乳中・後期では牧草サイレージ併給の有無にかかわらず、乳成分は良好 であった。 牛群全体の平均乳脂肪率はいずれも3.5%を上回っていた。試験結果から一乳期乳 量9千㎏ための飼料給与例を作成した(表1)。
- 放牧期分娩牛および早春分娩牛の放牧草摂取量は乾物12~13㎏と高く、ビートパルプを含
め た濃厚飼料も乾物9.7㎏併給したため、TDN摂取量の不足はみられなかった。放牧期・早春 分娩牛の初回発情、初回授精および空胎日数は良好であった(表2)。
- バルク乳のビタミンE含量は、放牧なし、制限放牧、昼夜放牧でそれぞれ 0.68、0.87、
1.04 μg/ml、βカロチン含量は0.20、0.33、0.37μg/mlと放牧利用で2倍近く高い(図2)。 脂肪 酸組成はC18以上の長鎖脂肪酸割合が放牧利用農家で高い。
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成果の活用面・留意点 |
- チモシー放牧草地は入牧前・退牧後の草丈を30~40、10~20cmでの利用が望ましい。
- 放牧草摂取量は草地の管理・状況により異なるので、必要に応じて放牧圧を調整する。
- 本試験の供試牛は1乳期乳量9000kg程度であり、さらに泌乳能力の高い牛群を昼夜放牧す
る場合は養分充足、繁殖性などに留意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
雑草
乳牛
繁殖性改善
品種
放牧技術
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