ナガチャコガネの性フェロモンを利用した防除法

タイトル ナガチャコガネの性フェロモンを利用した防除法
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1993~1996
研究担当者 柿崎昌志(北海道中央農試)
杉江 元
野口 浩(農環研)
発行年度 1997
要約 ナガチャコガネの性フェロモン物質の構造を解明し、そのラセミ合成品(Z)-7,15-hexadecadien-4-olideを用いた性フェロモントラップを開発した。これにより、ナガチャコガネの発生消長および発生状況を簡易に調査できる。さらに、本剤はハスカップでのナガチャコガネの大量誘殺法に利用できる。
背景・ねらい ハスカップやチャの重要害虫であるナガチャコガネの性フェロモン物質の構造を解明し、
合成性フェロモンを利用した性フェロモントラップ及び大量誘殺法による防除法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. ナガチャコガネの性フェロモン物質を、雌成虫のヘキサン抽出物中から生物検定をしなが
    ら各種クロマトグラフィーにより単離し、その化学構造を、GC-MS、キラルカラムに よ
    るHPLC、NMR分析により、(Z)-7,15-hexadecadien-4-olideと同定した。
  2. 本物質のラセミ合成品で誘引活性がみられ、天然物と異なる光学異性体には誘引性および
    誘引阻害性はみられない。また、幾何異性体(E-異性体)には誘引阻害効果があり、Z-異
    性体に対して1%までの混入率では誘引性は低下しないが、これを超えると低下する
    (表1)。
  3. 誘引製剤として、白色セプタムに合成性フェロモン10mgを添加した場合に最も誘引数が多
    く、市販のコガネコールトラップやSEファネルトラップ(コガネムシ仕様)で捕獲効率が
    良好である。
  4. 性フェロモントラップは、雄成虫の発生時期を簡易に捉えることができ、圃場での発生の
    有無の確認、発生状況の把握に有効である(図1)。
  5. ナガチャコガネの雄の比率を低下させると、雌の交尾率は大きく低下する。
  6. 大量誘殺法として、合成性フェロモン10mgを付けたトラップあるいはテックス板
    (DDVPD0.5g添加)を10a当り100個設置した場合に、補正密度で前者は33.4、後者では13.9~
    21.2となり、次世代の密度低減効果が認められた(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 性フェロモントラップは、圃場における発生消長や発生状況の簡易的調査に活用する。
  2. 合成性フェロモンを利用した大量誘殺法は、ナガチャコガネの防除に活用する。
  3. 大量誘殺法については、剤型・処理方法を更に検討するとともに、農薬登録が必要である。
図表1 211907-1.gif
図表2 211907-2.gif
図表3 211907-3.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 性フェロモン 農薬 ハスカップ 防除

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