てんさいの遺伝子導入に利用可能な効率的、安定的組織培養技術

タイトル てんさいの遺伝子導入に利用可能な効率的、安定的組織培養技術
担当機関 北海道立中央農業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 北海道農業試験場によるてんさい育成系統「NK-219mm-0」は、外植片からのカルス形成能およびカルスからの不定胚形成能が極めて高い。この系統を用いることでカルスおよびプロトプラストから効率的、安定的に再分化植物体を獲得できる。これらの培養系は、てんさいの遺伝子導入に利用できる。
背景・ねらい 遺伝子組換え技術によりウイルス遺伝子の一部を作物に導入することにより、そのウイルスに対する抵抗性を付与することが可能になっている。この手法を用いて、てんさいの難防除土壌病害であるテンサイそう根病に対する抵抗性素材の作出を目指しているが、適当な遺伝子導入系がない。そこで、本研究では、てんさいの遺伝子導入に利用可能な効率的、安定的な細胞・組織培養技術を確立を目指す。
成果の内容・特徴
  1. てんさい種子を殺菌後、植物ホルモン無添加の培地に播種して暗所で発芽させ、下胚軸をを含む培地に置床すると白色でソフトなカルスが形成される。このカルスをを含む培地に置床すると不定胚が形成される。北海道農業試験場育成系統の「NK-219mm-0」は、他の系統に比べて、下胚軸からのカルス形成能およびカルスからの不定胚形成能が極めて高い(表)。また、この系統は、他の系統と異なり葉片からも高率でカルスを形成する。
  2. 不定胚形成の際、植物ホルモンとして、およびをそれぞれの濃度で添加した培地は、単独培地に比べて形成率が著しく高くなり、形成数も約倍に増加する(表)。また、この培地は他の品種・系統にも極めて効果的である(表)。
  3. 不定胚は植物ホルモン無添加の等の培地で発芽させ、さらに同組成の培地に数回継代することで健全植物体が得られるが、不定胚の大部分がビトリフィケーションを起こしていることから、その獲得率は低い。早期に効率よく健全植物体を獲得するには、不定胚の置床および継代の際に培養瓶のキャップとしてビトリフィケーションからの回復に有効な通気性の良いメンブレン付アルミ箔(サンキャップシート)の使用が効果的である(表)。
  4. 不定胚形成能の高い「NK-219mm-0」の液体懸濁培養細胞よりプロトプラストを単離し、を含む培地で培養することでコロニー(小カルス)が形成される。コロニーの形成には、基本培地としてが良い(表)。さらに、小カルスより不定胚、健全植物体を得ることができるが、プロトプラスト由来不定胚からの健全植物体の形成は、カルス由来に比べて時間がかかり、形成率もやや劣る(表)。
  5. 今回確立したカルスおよびプロトプラストからの培養系は、効率的、安定的に健全植物体が得られることから、てんさいの遺伝子組換えに利用可能と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 今回確立した効率的、安定的な植物体再分化系は、テンサイそう根病抵抗性素材作出のためのアグロバクテリウム法あるいはエレクトロポレーション法による遺伝子導入技術に利用できる。
  2. カルス形成およびカルスからの不定胚形成は、品種・系統間差が著しいので、再分化の困難な品種・系統については、さらなる培養条件の検討が必要である。
[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分]
課題名:てんさいの遺伝子導入のための組織培養技術の確立(研究参考)
図表1 211957-1.gif
図表2 211957-2.gif
図表3 211957-3.gif
図表4 211957-4.gif
図表5 211957-5.gif
図表6 211957-6.gif
カテゴリ 病害虫 抵抗性 てんさい 播種 品種 防除

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