北海道耕地土壌の理化学性の変化と今後の土壌管理の方向

タイトル 北海道耕地土壌の理化学性の変化と今後の土壌管理の方向
担当機関 ほか道立各農試
研究期間 1997~1999
研究担当者 各農試土壌肥料部門各科試験担当者
発行年度 1999
要約 土壌環境基礎調査・定点調査の調査結果と今後の土壌管理の方向をとりまとめた。北海道耕地土壌の理化学性の実態、及び今後の土壌管理の方向として、化学性では各地目ともリン酸の蓄積が見られるが、カリは近年適正化の方向にある。また苦土や石灰は近年減少しており、今後土壌診断による適正な土壌管理をおこなう必要がある。物理性では畑土壌の作土厚が増加し、心土が堅密化している。
背景・ねらい 昭和54年から平成9年までの20年間、全道1260地点で実施された土壌保全対策事業の「土壌環境基礎調査・定点調査」の調査結果をとりまとめ、北海道の耕地土壌の理化学性の実態、及び今後の土壌管理の方向を示す。
成果の内容・特徴
  1. 土壌理化学性の実態・変化の方向(表1)
    1)水田:全炭素・全窒素・可給態窒素は一時期顕著に減少したが、その後全窒素・可給態窒素は増加している。カリ・苦土・リン酸は昭和60年まで著しく増加し、カリ・リン酸は依然蓄積傾向にあるが、苦土は逆に減少している。ケイ酸は近年顕著に増加し、また石灰は減少している。
    2)普通畑:物理性では、作土厚は増加しているが、心土の孔隙率は減少しており、心土の堅密化の傾向が見られる。全炭素・全窒素・可給態窒素は一時顕著に減少したが、その後可給態窒素は増加している。カリ・苦土・リン酸は昭和60年まで著しく増加し、リン酸は依然増加しているが、カリ・苦土は減少している。石灰は減少している。
    3)草地:全炭素・全窒素ともに増加し、また可給態窒素は一時あきらかに減少したが、その後増加している。カリ・苦土・リン酸は昭和60年まで著しく増加したが、その苦土は減少している。
  2. 今後の土壌管理の方向性(留意すべき調査項目)(表2)
    1)水田:可給態ケイ酸は今後も適正なケイ酸質土壌改良資材の施用に努める。可給態リン酸は依然蓄積傾向にあるので土壌診断の実施により適正な施肥対応に努める。
    2)普通畑:全炭素、全窒素が低減傾向にあるので、有機物の適正施用により地力の維持に努める。交換性石灰は減少しており今後石灰欠乏症の発症やpH(H2O)の低下が懸念され、また交換性苦土も減少しており一部圃場では苦土欠乏症が生じる恐れがあることから、土壌診断の実施によって適正な値を維持するよう留意する。交換性カリ、可給態リン酸は蓄積していることから土壌診断の実施により適正な施肥対応に努める。
    3)草地:交換性カリは、蓄積している圃場と不足している圃場に2分され、また可給態リン酸は蓄積していることから、いずれも土壌診断の実施により適正な施肥対応に努める。
成果の活用面・留意点 本成果は北海道全域の農耕地の理化学性の現況や動向を把握する上で有効である。ただし、個々の圃場の実態については個別の土壌診断によって対応する必要がある。
平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:北海道耕地土壌の理化学性の実態・変化の方向とその対応-定点調査とりまとめ-(指導参考)
図表1 212182-1.gif
図表2 212182-2.gif
カテゴリ 肥料 水田 施肥 土壌改良 土壌環境 土壌診断

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