ばれいしょの煮くずれに関与する要因

タイトル ばれいしょの煮くずれに関与する要因
担当機関 流通システム研究チーム
研究期間 1999~1999
研究担当者 遠藤千絵
山内宏昭
小原(高田)明子
森 元幸
六笠裕治
発行年度 1999
要約 水煮ばれいしょの煮くずれ程度には、塊茎一個のでん粉価の他に、塊茎中のでん粉分布様式、細胞サイズ、細胞間隙量、細胞壁成分が関与する。
背景・ねらい 水煮ばれいしょの「煮くずれ」は、塊茎一個中のでん粉の量(でん粉価またはライマン価で表現される:比重から算出する)が高いほど大きくなるが、異なる品種の間では比重が同じであっても煮くずれ程度が違うことがある。このため、でん粉価だけでは調理加工特性を的確に予測できず問題となっていた。そこで、煮くずれ程度がそれぞれ特徴的な3品種:同一でん粉価において煮くずれやすいキタアカリ、煮くずれにくいホッカイコガネおよび両者の中間タイプのメークインを用いて、でん粉価の他に煮くずれ程度に関与する要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 「煮くずれ」は、加熱・吸水によりでん粉が膨潤して細胞が球形になり細胞同士が分離して起こるが、でん粉は細胞壁セルロースに保持されて細胞内にとどまっている(図1)。
  2. 煮くずれ程度に関与するのは以下の要因である。
    1)塊茎中のでん粉の分布様式:キタアカリは表皮に近い部分にでん粉を多く含む細胞群があるため表層から煮くずれやすいが、ホッカイコガネではこれら細胞群が維管束環内部にあるため表層は煮くずれにくい(図2、表1)。
    2)細胞サイズ:キタアカリは細胞体積が大きく細胞間の接着面積が小さくなり細胞が分離しやすいが、ホッカイコガネでは体積はキタアカリの2分の1と小さいため分離しにくい(表1)。
    3)細胞間隙の量:キタアカリは細胞間隙量が多く、細胞分離が起こりやすい構造を持つ(図3)。
    4)細胞壁成分の特性:キタアカリはカルシウム、ガラクツロン酸量が低く、細胞間を接着するペクチン質の分子間架橋結合力が低い。
  3. 単離でん粉の加熱・吸水による膨潤度はホッカイコガネで高い(図4)が、塊茎細胞中では上記の特性から煮くずれ程度には相関しない。
成果の活用面・留意点
  1. 個々のニーズに適した品種の利用法・調理加工法の開発、適性品種の育種開発に利用できる。
  2. 塊茎細胞中でのでん粉膨潤による細胞内圧の煮くずれへの寄与度を評価する必要がある。
  3. 本研究での煮くずれは、水分が充分供給される条件で行ったので、水分量が限定される場合や、凍結過程がある加工条件等では、煮くずれ方が異なる。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:ばれいしょの煮くずれに関与する要因(研究参考)
図表1 212199-1.gif
図表2 212199-2.gif
図表3 212199-3.gif
図表4 212199-4.gif
図表5 212199-5.gif
カテゴリ 育種 加工 加工特性 ばれいしょ 品種

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