品質からみた春まき小麦の収穫上限水分と適正乾燥温度

タイトル 品質からみた春まき小麦の収穫上限水分と適正乾燥温度
担当機関 北海道立中央農業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 関口建二
原 圭祐
原 令幸
竹中秀行
発行年度 2000
要約 子実水分30%以上の高水分の春まき小麦は、製粉性、生地の物性などの内部品質の低下を避けるため、子実水分35%を上限に収穫し、乾燥による粒の色つき不足や蛋白質の熱変性による物性の低下を避けるため、熱風温度45℃以下で乾燥することが望ましい。
背景・ねらい 春まき小麦は収穫期前後の降雨により穂発芽しやすく、穂発芽による低アミロ小麦の発生が問題となっている。そこで、穂発芽発生を軽減するために収穫期を早めることを目的とし、通常水分(21~27%)から高水分(34~43%)で収穫した春まき小麦の乾燥後の組成や粒色などの外観品質と製粉性および小麦粉理化学性といった内部品質を調査し、収穫水分の上限および適切な乾燥温度を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. コンバインで高水分時(34~43%)に収穫し、循環式乾燥機で乾燥した春まき小麦の粒色は通常水分(21~27%)で収穫した時よりも明度が増大し、赤みが低下するため色つきが不足する(図1)。農産物検査では、高水分で収穫し循環式乾燥機および静置式乾燥機で熱風温度50℃以上の条件で乾燥した時に光沢不足と判断されることが多い。
  2. 製粉性は高水分で収穫するほど劣るが、子実水分35%以下であれば通常水分で収穫した場合とほぼ同等である(図2)。
  3. 高水分で収穫した小麦の生地物性は、通常水分で収穫した場合より低下するが、子実水分35%以下であれば通常水分で収穫した時に近い品質である(図3)。また、高水分で収穫した小麦は、熱風温度50℃以上の乾燥により、小麦粉中の蛋白質の熱変性とみられる生地の劣化が認められるため、熱風温度45℃以下で乾燥することが望ましい。
  4. 3年間の立毛子実水分経過では、収穫上限水分を慣行指導の30%から35%にすることにより、0.6~2.6日早く収穫することが可能であり、降雨による穂発芽発生を軽減できる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 循環式乾燥機で高水分春まき小麦を乾燥する場合、乾燥ムラを避けるため二段乾燥を実施する。
  2. 高水分で収穫した春まき小麦の発芽率は低下する場合があるため、種子用には適用しない。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:内部品質からみた高水分春まき小麦の収穫・乾燥条件(指導参考)
図表1 212208-1.jpg
図表2 212208-2.jpg
図表3 212208-3.jpg
図表4 212208-4.jpg
カテゴリ 乾燥 小麦

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