アカシデ芽生えの生存に有効な外生菌根

タイトル アカシデ芽生えの生存に有効な外生菌根
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 森林生物部土壌微生物研究室 岡部宏秋
赤間慶子
発行年度 1992
背景・ねらい 有用な落葉広葉樹には,担子菌や子のう菌などと共生し外生菌根を形成するものが多い。この菌根が宿主の養水分の吸収を助けたり,宿主の受ける様々な障害に対し軽減効果があるというのでこれらの活用が期待されている。ここでは,落葉広葉樹の更新に関わる菌根菌の働きにスポットを当てた。一般に芽生えが生き残る率は低いといわれており,一方では共生する外生菌根菌が宿主の立枯れ予防や成長に有効であることが知られている。椎樹の生存は乾燥に左右されると思われるので,芽生えの菌根菌の出現頻度と種類組成を明らかにした。
成果の内容・特徴 茨城県小川,福島県勿来の落葉広葉樹林において,第一成葉が展開し始めたアカシデの芽生えと1年生個体を採取した。感染初期には菌根の分類・同定ができないので,根を水洗後滅菌土壌に植え,他の菌根菌による感染を防ぎ,またできるだけ土壌の乾燥を保つように管理し菌根を形成させて6か月後に菌根の種類組成や分布を調べた(表1,2)。
芽生えでは,両試験地とも約30%の個体で感染していたが,そのほとんどがメラニン由来の黒色の菌根(口絵写真2)で,6種認められた。なかでも子のう菌のCenococcum graniforme(Cg)が多く,6種の黒色菌根のうち本菌だけ菌核を多量に形成した。Cgの菌根は成長にそれほど寄与することはないが,乾燥耐性があるといわれており,分離し接種,感染させその働きについて引き続き調べている。分布的には,乾燥下に多くみられる黒色菌根が,実験的にも土壌表層に多く,深くなるにつれ,すなわち土壌含水率が高くなると減少傾向が認められた。この時期に黒色以外の菌根は全体の4%にすぎず,菌の種類.量ともに少なくて,しかも単一種の菌根から成っていた。1年生になると,全個体に菌根が形成され,両地区の黒色系の菌根の出現頻度はそれぞれ53,51%に増大し,複数種からなる菌根が急激に増え,なかには白色で厚いマントル(口絵写真3,M3)がみられるようになり,組み合わせも複雑になり多様な菌根へと変化した。
芽生え直後の根は,土壌表層にあり,なかには落葉層にとどまる個体もあるので芽生えにとって最も危険な条件に乾燥をあげることができる。この乾燥に対し黒色菌根は耐性を示し,また他の菌根菌と比べ迅速に感染する機構を持つグループであると思われ,芽生えの生存に効果があると考えられる。

図表1 212323-1.gif
図表2 212323-2.gif
カテゴリ 乾燥

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