木造でビルが建つ!新しい木質材料CLT の開発

タイトル 木造でビルが建つ!新しい木質材料CLT の開発
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 宮武 敦
塔村 真一郎
渋沢 龍也
平松 靖
新藤 健太
宮本 康太
藤原 健
山下 香菜
軽部 正彦
青木 謙治
井上 明生
孕石 剛志
中島 洋
発行年度 2014
要約 国産スギ材を用いた直交集成板(CLT)の基本的な製造技術について検討するとともに、接着性能や強度性能などの様々な性能を明らかにし、日本農林規格(JAS)の制定に貢献しました。
背景・ねらい 欧州ではクロス・ラミネイティド・ティンバー(CLT:直交集成板)と呼ばれる木質材料を用いた大規模木造建築が盛んに建設されています。木材を大量に使用することで低炭素社会の実現に貢献することや中高層の木造建築を可能にしていることが高く評価されています。我が国においても今後供給量が増えるスギ大径木の有効活用としてCLT への利用が期待され、建築工法に関する技術開発が急ピッチで進められています。しかし、肝心の材料そのものの規格が整備されていませんでした。そこで、国産材を用いたCLT の基本的な製造方法について検討するとともに、寸法安定性、接着性能、強度性能などの基礎的な性能を明らかにしました。これらの成果はCLT に関する材料規格である直交集成板の日本農林規格(JAS)の制定に大いに貢献しました。
成果の内容・特徴

研究の背景

CLT は、欧州で1990 年代半ばに開発され実用化が進められてきた新しい木質材料です(図1)。木材の繊維方向に揃えて並べたものを1層とし、いくつかの層を互いに直交(クロス)させて積層(ラミネイト)し、接着剤で板状に一体化して造られることから、クロス・ラミネイティド・ティンバーと呼ばれます(図2)。欧州では幅3m、長さ18m ほどの長大で厚い製品も利用されています。

寸法変化を評価する

木材は濡れたり乾いたりすると寸法が変化しますが、これだけ大きな材料を建築で使用する場合、寸法変化の影響を無視することができません。無垢の木材の場合、水分量の変化に対する寸法変化量は、幅方向が繊維方向の4 倍も大きくなります。CLT は長さ方向、幅方向のどちらにも、寸法変化の小さい繊維方向の板材が接着されているため、幅方向の寸法変化は木材の半分以下に抑制されることがわかりました。

接着性能を評価する

構造材として長期間の使用に耐えるにはCLT が接着剤で一体化されていることが大前提です。また、寸法変化を抑制する力が接着層に働くため、CLT の接着性能をどのように評価すべきか検討しました。その結果、CLT と同じくひき板を原材料とする集成材の接着性能試験方法に準じて評価できることがわかりました(図3)。

強度性能を評価する

木材は繊維直交方向の強度が繊維方向に比べて大変低い材料です。そのため木材の繊維方向を直交させながら積層したCLT の強度性能はその構成によって異なります。
実際の建物の床を設計する場合には、曲げ剛性(たわみにくさ)が重要になります。曲げ剛性は、曲げヤング係数(MOE:たわみにくさにの基準となる係数)と製品の厚さ及び幅によって決まります。CLT のひき板の基本的な構成(図4)を検討した結果、CLT のMOE は積層数が増えるにしたがって低くなりますが、曲げ剛性は製品厚さの3 乗に比例して増加するため、積層数の増加に伴って大きくなることがわかりました(図5)。

材料規格や設計技術の整備のために

CLT の基本となる接着性能の評価方法ならびにひき板の構成ごとに算出された強度性能に関するデータについては、直ちにJAS 規格原案作成委員会に提供しました。その結果、「直交集成板の日本農林規格」や「直交集成板の適正製造基準」が平成25 年12 月に異例の早さで制定されました。今後は、日本農林規格に合格したCLT が建築構造材として使用される際に必要となる強度性能などのデータ蓄積を図るとともに国産材を用いてより効率的にCLT を製造するための技術開発を行う予定です。

本研究は森林総合研究所運営交付金(交付金プロジェクト)「スギ造林大径木を公共建築等において利用拡大するための技術開発」により行いました。
図表1 236745-1.jpg
図表2 236745-2.jpg
図表3 236745-3.jpg
図表4 236745-4.jpg
図表5 236745-5.jpg
研究内容 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2014/documents/p16-17.pdf
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