広葉樹樹冠の空間形状に関するシミュレーション

タイトル 広葉樹樹冠の空間形状に関するシミュレーション
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 関西支所風致林管理研究室 野田 巌
発行年度 1992
背景・ねらい 地形,樹木の混在の程度など,またこれらに基づいた光環境といった立地環境の影響を受けて様々な成長形態を見せる広葉樹天然林の樹冠形状についての情報を得ることは,天然林生態系の遷移を考える上で重要なことである。そこで,ここでは広葉樹天然林に関する生物集団情報の時系列的な動きを明らかにするための基礎技術の一つとして,現実の樹冠形状を3次元空間内で近似的に再現する研究について行った。
成果の内容・特徴 樹冠モデルに関する研究の多くが計測データから関数の回転体で近似するものであるが,ここでは,立木の樹冠輪郭を複数方向から計測して,樹冠形状を3次元座標点で近似させる方法を開発した。この樹冠の3次元モデルを「数値樹冠モデル」と呼ぶ。計測方法の違いと数値樹冠モデルの再現性の関係,従来の関数モデルと数値樹冠モデルの再現性の違いについて検討した。その結果,計測数が増えるにつれ,また2方向計測交角では70~90度になるにつれて再現性が高く,関数モデルよりも計測交角70~90度の2方向計測による数値樹冠モデルの方が再現性が高く樹冠の細かな形状まで再現された(図1)。図2は,ある250年生ブナ(樹高21.3m)の数値樹冠モデル,関数モデルの例である。
次に数値樹冠モデルを利用して現実の林分樹冠構造を3次元シミュレーションする技術の開発を行った。同時に,太陽日照のシミュレーションも可能になった。嵐山試験地No.1A(4.98m2)内の樹木について数値樹冠モデルを作成し,シミュレーションした結果を示す(口絵図3,4)。数値樹冠モデルのほかに試験地No.1Aと隣接する試験地の地形も同時に表示した。図3は試験地を北方向から夏至12時に鳥瞰したものである。図4は試験地を同じ時刻に真上から見た正射投影図で,これを利用して樹冠占有面積割合の計算,樹冠投影図の作成が可能であることが分かった。この数値樹冠モデルを利用した外分の3次元モデリング手法は,一つの3次元座標空間に現実の外分を近似的に再現することから,樹冠の空間的配置に関する数値解析をはじめ,林内光環境の把握などのシミュレーションに利用可能であると考えられた。
図1 数値樹幹モデルの再現性比較結果
(A)樹冠輪郭計測数別再現性、(B)2方向計測の交角別再現性と関数樹冠モデルの比較。樹冠輪郭を9方向計測した数値樹冠モデルを最も現実に近いと仮定し、これを「理想モデル」とした。再現性の検討は、各々の樹冠モデルから得られる樹冠断面積・表面積の垂直分布について理想モデルとの誤差率を算出して行った。関数樹冠モデルには、広葉樹の関数モデルで代表的なKoop(1989)のモデルを使った。
図2 数値樹冠モデルと関数モデルの3次元表示
左上:2方向計測数値樹冠モデル、左下:理想モデル(樹冠輪郭を9方向計測した数値樹冠モデル)、右:Koop(1989)による関数樹冠モデル。いずれも同一個体(250年生ブナ Fagus crenata 樹高21.3m)の樹冠モデルである。
図表1 212330-1.gif
図表2 212330-2.jpg
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