針葉樹の葉緑体DNAの構造解析及び系統進化に関する研究

タイトル 針葉樹の葉緑体DNAの構造解析及び系統進化に関する研究
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 津村 義彦
吉村 研介
河原 孝行
発行年度 1995
背景・ねらい 近年、植物においてもDNAレベルでの研究が進み、葉緑体、ミトコンドリア、核ゲノムの構造解析の研究が分子レベルで急速に進行している。その中で葉緑体ゲノムはその構造の保存性のため植物の種を越えた系統関係の研究に新しい分野を開拓した。世代の長い樹木の遺伝解析にとって直接的な遺伝情報を取り扱うDNAレベルでの研究は、従来法(形態分析、染色体、アイソザイム等)と比べ、飛躍的な知見をもたらすものと期待される。本研究ではスギの葉緑体DNAの構造を通して針葉樹葉緑体のゲノムの特徴を明らかにし、針葉樹の系統進化を明らかにすることを目的して行った。
成果の内容・特徴
  1. 針葉樹の葉緑体DNAの構造の違い
    スギ葉緑体DNAの遺伝子地図を作成したところ、そのゲノムサイズは約132kbで大きな逆位繰り返し配列(IR)を持たない構造であった。既報のマツ科の葉緑体DNAはゲノムサイズが約120kbで遺伝子の配列がスギとは大きく異なっていた。このことは針葉樹が大きな逆位繰返し配列(IR)をなくしたあとスギ科、マツ科の分類群ごとに独自の進化をしてきたのではないかと予想される(図1)。
  2. 葉緑体DNAの種内変異
    本来、葉緑体DNAは保存的で種内変異はあまりないと考えられていた。しかしながら、オオシラビソの天然林から採取した試料をもとに葉緑体DNAの種内変異を調査した結果、複数の変異が検出された。またこの変異には地理的な勾配が見られた。この種内変異は他のマツ科の樹種で報告があるものとは違った構造変異が原因であると思われる。
  3. 葉緑体DNAを用いた針葉樹の分子系統
    葉緑体上にコードされている6つの遺伝子(frxC、rbcL、psbA、psbD、trnK、16S)をPCR増幅した後、制限酵素処理し、全体で227の塩基置換を検出した。これをもとに系統樹を構築した(図2)。この結果から、マツ科はよくまとまった群であるが、スギ科及びヒノキ科は明確に区別できない群であった。また従来、分類が問題とされていたコウヤマキはスギ科とは独立したものであることが明らかになった。
図表1 212405-1.gif
図表2 212405-2.gif
図表3 212405-3.png
図表4 212405-4.png
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