| タイトル | 木材表面への紫外線吸収剤グラフトによる高耐候性木質材料の開発 |
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| 担当機関 | 森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
木口 実 大越 誠 片岡 厚 P.D. Evans |
| 発行年度 | 1997 |
| 背景・ねらい | 近年、エクステリア材料としての木材が注目を集めており、その使用量は経済の停滞にもかかわらず急激な増加を示している。わが国では、特に木材の持つ美しい色調や木理を屋外でも長期間保持できるような高い耐候性が求められているが、木材を構成する化学成分の多くは太陽光により分解されやすく、屋外では1年程度で暗灰色化や透明塗膜の剥離が生じてしまう。本研究では、軽度な化学的処理により木材表面の化学構造を光に対して安定化し、木材の色調を長期間保持できるような高耐候性木質材料の開発を検討した。 |
| 成果の内容・特徴 | これまで、通常の紫外線吸収剤(UVA)は木材への十分に浸透させることが困難で、また木材から容易に溶脱したり分解するため紫外線吸収効果の持続することができず、高い耐候性を期待できなかった。そこで、木材成分と直接化学的な結合ができるように、ベンゾフェノン系UVAの末端にエポキシ基を付加させた反応性UVAを合成し、これを木材表面の水酸基にグラフト付加(枝状化学結合)させた。UVAの末端に重合性の官能基が付加したことによりUVA自体も高分子化され、さらに木材成分との化学結合により溶脱が抑制され長期間の紫外線吸収効果が期待できる。UVAグラフト単板の屋外暴露試験では、試験片の重量減少率はUVAのグラフト率に反比例して低くなり、これまで最も耐候性付与効果が高いといわれたクロム酸処理に匹敵する結果が得られた(図1)。 木材への紫外線浸透深さは0.1mm以下であるため、木材の耐光性を向上させるためには極表面のみの処理でよい。これまで、透明系塗膜は太陽光を透過するため下地の木材表面が劣化を受け短期間で塗膜剥離などの劣化が発生したが(図2)、厚さ0.2~0.3mmの木材単板に反応性UVAをグラフトさせこれを木材基材に接着剤を用いて接着し(オーバーレイ)、その上に透明系塗料を塗装することにより塗膜耐久性を大幅に向上させることに成功した。ウェザーメータにより促進暴露試験を行った結果、試験1500時間後ではUVAがグラフトされていないものは70%以上の塗膜劣化が見られたが、重量で5.6%グラフトされたものは30%程度に抑制された(図3)。生物劣化を伴う屋外暴露試験でも、促進試験と同様にUVAグラフトしたものは塗膜劣化が大きく減少した(写真1)。これらの成果から、木材の色調・木理を長期間屋外で保持できることが明らかとなり、木材のエクステリア材としての利用の飛躍的な増加が期待できる。 なお、本研究は農林水産技術会議大型別枠研究「新需要創出のための生物機能の開発・利用技術の開発に関する総合研究」による。 |
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| 図表2 | ![]() |
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| 図表6 | ![]() |
| 図表7 | ![]() |
| 図表8 | ![]() |
| カテゴリ |
| 針葉樹成葉のエイジングに伴う核ゲノム及び葉緑体ゲノム上の遺伝子群の発現調節 |
| 沖縄地方における森林の水土保全機能の解明 |
| 耐冷・良食味・極早稲水稲新品種「ユメコガネ」の育成 |