ニホンキバチとAmylostereum属菌類によるスギ・ヒノキ生立木の材部変色

タイトル ニホンキバチとAmylostereum属菌類によるスギ・ヒノキ生立木の材部変色
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 田端 雅進
阿部 恭久
発行年度 1997
背景・ねらい 近年、四国地方や中国地方などのスギ・ヒノキ林においてニホンキバチとAmylostereum属菌類による林木の変色被害が顕在化しはじめている。これまで木材穿孔性昆虫の一群であるニホンキバチの生態や防除に関する研究が行われてきた。しかし、変色被害の原因となるAmylostereum属菌類の生態や変色機構などの研究は著しく遅れている。そこで本研究では、変色被害の原因菌やその培養的特性を解明すること及びスギ、ヒノキの生立木に対する原因菌の病原性(材変色性)を明らかにすることを目的とした。
成果の内容・特徴 ニホンキバチの雌と雄を解剖した結果、雌(写真1)は必ず胞子貯蔵器官(マイカンギア、写真2)内にかすがい連結のある菌糸を保持していた(写真3)。マイカンギアから分離した菌の培養菌株は菌叢の色、菌糸成長、菌糸型が同じで、菌糸にはすべてかすがい連結が認められた。培養菌叢はポテトデキストロース寒天培地上で綿毛状、黄褐色で、不快な臭いがした。四国地方のスギ伐り捨て間伐林において菌類調査を行った結果、伐り捨て間伐木の樹皮上にAmylostereum属菌類の子実体が発生しているのが発見された。本菌を分類学的に検討した結果、日本では未報告のAmylostereum laevigatumと同定された(写真4)。マイカンギア由来の菌と子実体由来の菌の培養的特性はほとんど同じであった。マイカンギア由来の菌と子実体由来の菌ともに菌糸体の成長パターンが同じであった。マイカンギア由来の培養菌株を滅菌した新鮮なスギ丸太に接種した結果、A. laevigatumの子実体が6か月後に形成された。以上の結果から、四国地方のニホンキバチのマイカンギアから分離された菌はA. laevigatumであることが明らかになった。また、これまでキバチ類と関係を持つAmylostereum属菌類は世界的には2種が知られていたが、本菌がキバチ類と共生関係にあることは今回初めて明らかにされた。

スギ、ヒノキの生立木に対する子実体由来の菌株とマイカンギア由来の菌株の接種試験の結果、接種木すべてに変色が認められた(写真5、写真6)。変色は赤褐色~淡褐色、横断面では紡錐形で、スギよりもヒノキの方が薄かった。マイカンギア由来菌株の接種による変色の形状及び大きさと子実体由来菌株の接種による変色の形状及び大きさはほとんど同じであった。接種菌が接種木から再分離され、コントロールからは分離されなかったことから、接種菌の材変色性が明らかになった。
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カテゴリ 病害虫 防除

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