鳥類の種子散布が落葉広葉樹林天然更新に果たす役割

タイトル 鳥類の種子散布が落葉広葉樹林天然更新に果たす役割
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 東條 一史
発行年度 1998
背景・ねらい 植物の繁殖において種子の散布は極めて重要な問題であり、多くの植物は餌として魅力的な果実を実らせて鳥に食べさせ、未消化の種子を散布させるように進化してきた。しかし森林に棲む全ての鳥がよい散布者となるわけではなく、果実を好まない鳥もいれば、強力な消化器官で種子まで消化してしまう鳥もいる。鳥類が森林の更新に果たす役割を理解する上で、どのグループの鳥が有効な種子散布者であるのかを知ることは不可欠である。本研究では林内で捕えた鳥から採取した糞を調べ、糞中に植物種子が含まれる確率を指標として、各グループの鳥の種子散布への貢献度を推定した。
成果の内容・特徴 調査は茨城県の小川学術参考保護林と筑波共同試験地で行った。小川学術参考保護林は成熟した落葉広葉樹林であり、筑波共同試験地は二次林を中心とし、ヒサカキ、クロモジなどの暖帯林的要素を含む林である。林内に霞網を張って鳥を捕獲し、木綿の袋に回収した後、標識用の足輪を装着して放鳥した(写真1)。袋に残された糞はサンプル管に採取して冷凍保存し、乾重を測定した後、実体顕微鏡下で種子を選り出した(写真2)。小川学術参考保護林では1995~97年の秋(9~11月)に28種の鳥から270サンプルを、筑波共同試験地では、1991年12月から1993年4月まで、及び1993年9月から10月の合計19か月に31種から約610サンプルを得た。全サンプルのうち、一つでも種子が見いだされたサンプルの割合を種子出現率とした。

各科の鳥の種子出現率は、小川学術参考保護林でも筑波共同試験地でも有意な差はなかった(図1)。両調査地を合わせた種子出現率は、メジロ科の72%を最高に、チメドリ科63%、ツグミ科53%、ヒヨドリ科40%、キツツキ科35%などが高い値を示し、これらのグループが種子散布者としての能力が高いことが示された。また、ヒタキ科は15%、ウグイス科は11%であり、これらも種子散布者として考えられよう。一方ホオジロ科は4%、シジュウカラ科は3%と低く、アトリ科、エナガ科、カラス科では0%であり、これらが糞による種子散布にはあまり関与しないことが明らかになった。

小川学術参考保護林において各科の鳥が種子散布にどれだけ貢献したかを推定するため、1995年秋から1996年春にかけての個体数にそれぞれの鳥の体重と種子出現率を乗じて相対的貢献度とした(図2)。その結果、ツグミ科、キツツキ科、ヒヨドリ科が大部分の種子散布を行ったと推定され、特に秋期にはツグミ科が重要であったことが示された。

なお、本研究は大型別枠研究「農林水産系生態秩序の解明と最適制御に関する総合研究」による。
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カテゴリ 繁殖性改善

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