森林での体験活動は幅広い環境教育に貢献

タイトル 森林での体験活動は幅広い環境教育に貢献
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 井上真理子
大石康彦
発行年度 2010
要約 森林体験活動の内容には、レクリエーションなど自然とのふれあい、自然観察など自然環境、林業体験や木工など森林資源、地域の暮らしなど地域文化の、4つの異なる要素が含まれていることを明らかにしました。
背景・ねらい 森林には、木材生産機能や、生物多様性の保全など環境機能だけではなく、自然体験が不足している子ども達の体験学習の場としての機能も求められています。教育分野では、環境教育、ESD(Education for Sustainable Development; 持続可能な開発のための教育)の推進が国際的に求められ、自然体験活動やキャリア教育、地域連携など、森林分野が貢献できるテーマが重視されています。森林で、学校などにより林業体験活動、自然観察、レクリエーションが行われています。しかし、森林での体験活動にどのような内容が含まれているのか把握されておらず、また環境教育とのつながりも明らかにされていませんでした。
成果の内容・特徴

森林での体験活動の種類

森林体験活動の実態を明らかにするため、幼稚園、保育園や児童館、小学校、中学校、高校、大学、特別支援学校などの教育・福祉系施設や、公園やビジターセンターなど森林・環境関係の公的機関や林業関係団体、観光関係の民間団体、さらに市民グループなどの幅広い団体から協力を得て調査しました。
森林体験活動では、調査の結果から、自然観察・学習(実施率70%)、自然とのふれあい(森林でのゲームなど、同67%)が多く行われており、その他にも、キャンプなどの生活、木工などクラフト、植樹や間伐などの林業作業、登山やアスレチックなどのスポーツ、山菜とりなど資源利用目的の採取、観察や学習目的の採取、ゴミ拾いなどの自然環境整備、鳥の巣箱かけなど動植物保護、ハイキングなどの保健休養、歩道づくりなどの施設作設、写生会などの芸術、その他(地域文化活動など)からなる14種類に及ぶ多様な内容が行われていました(図1)。

森林教育に含まれる4つの要素

森林や木材に関する教育的な活動を総称して森林教育と呼び、既存研究のレビューから森林教育における学習内容を分類すると、以下の4つの異なる要素に区分できました。
  1. 野外活動やレクリエーション、保健休養など自然体験を含む自然とのふれあい
  2. 自然観察や森林生態系の保全活動などを含む自然環境
  3. 林業体験や木工など森林資源の利用を含む森林資源
  4. 身近なみどりや自然景観、地域の暮らし、祭事などを含む地域文化
先に示したように森林での体験活動には多様な内容が含まれていましたので、これらの体験活動を4つの要素に分類することにより、各要素の具体的な構成を明らかにしました(図1、2)。

これからの森林体験活動

このように、森林教育は多様な体験活動からなる複数の要素を含み、これらの要素を用いると、森林体験活動を行う際、どの内容を重視した活動かがはっきりするので、活動目的を明確にすることに役立ちます。例えば、森林体験活動を希望する学校に、活動内容の4つの要素を提示して選んでもらえば、指導を依頼された講師が、森林体験活動のプログラムとして学校のニーズにあったものを行うことができます。さらに、森林体験の指導者が森林教育の4つの要素を認識することで、ふれあいの要素を重視した自然体験の際に森林資源の話題を盛り込むなど、複数の要素を含む活動とすることができ、幅広い森林、林業の理解を促し、環境教育の推進に役立つと考えられます。

本研究は、森林総合研究所交付金プロジェクト「人と自然のふれあい機能向上を目的とした里山の保全・利活用技術の開発」、科学研究費「高等学校での環境教育と林業教育を統合した新たな森林環境教育の提言」の成果です。
図表1 235193-1.png
図表2 235193-2.png
カテゴリ くり

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