| タイトル | スギの品種間における細胞構造の違いが材質に与える影響 |
|---|---|
| 担当機関 | 森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
平川 泰彦 山下 香菜 |
| 発行年度 | 1998 |
| 背景・ねらい | スギは材質的に優れ、造林木の蓄積も多いため、今後とも柱・梁などの構造用材として大量に利用されていくものと予想されている。しかし、スギの強度をヤング係数を用いて推定した場合、一般の針葉樹に比べて品種間での変動が大きく、建築設計等実務的にも問題となるため、その変動要因の究明が求められている。ヤング係数の変動には、木材の密度と細胞壁の鉄筋に当たるセルロース繊維の傾き(ミクロフィブリル[MF]傾角)の影響が大きいといわれている。そこで本研究では、多くの品種やクローンについてMF傾角の樹幹内変動を調べ、ヤング係数変動と関連付けようとした。 |
| 成果の内容・特徴 | 針葉樹の木部の大部分を占める仮道管の二次壁は3層に分かれ、中層が最も厚く、そのMF傾角が木材のヤング係数に大きな影響を与える(図1)。一般にMF傾角が小さく密度が大きいほどヤング係数は大きい。また、MF傾角は、樹幹の水平方向では常に髄から樹皮側に向けて漸減しほぼ一定値に達する変動パターンを示すので(図2)、MF傾角の変動パターンを基準にすることにより、髄近くの傾角の大きい部分を未成熟材、外側の傾角の小さい部分を成熟材といって区分している。 これまでは、仮道管長とMF傾角とで区分した未成熟材の範囲はほぼ同じで樹幹内の髄付近に円筒状に分布し、未成熟材ではMF傾角が大きいのでヤング係数が低く、樹幹の上部の丸太ほど未成熟材率が高くなるのでヤング係数が低くなると考えられてきた。しかし、実際には樹幹上部の丸太ヤング係数が下部に比べて逆に大きい場合があるなど、従来の仮説では説明できない事例が数多く知られている。 本研究では、これまでの仮説と異なり、仮道管長で区分した未成熟材の範囲が円筒状であるのに対し、MF傾角で区分した範囲はほぼ円錐形であることを明らかにした(図3)。また、その円錐の大きさやMF傾角は品種やクローンで異なっており、遺伝的に制御されているものと考えられた(図4)。これらの結果から、スギの丸太ヤング係数が一本の樹木の中でも異なる場合があることや品種やクローンなどで異なる場合があることを実証できるようになった。例えば、図5のムラスギのようにヤング係数の高さ方向の樹幹内変動の小さい品種は図3のMF傾角変動が小さいタイプ(A)、またヤブクグリのようにある高さまでヤング係数が漸増する品種は地上高の低い部分でMF傾角が大きいタイプ(B)に属すると考えられる。さらに、若齢時に成長を抑制すれば全体にヤング係数を上げることができる品種(ヤブクグリ、カワシマ等)とできない品種(クモトオシ、ムラスギ等)があるなど、施業効果についての説明も可能になった。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 図表5 | ![]() |
| 図表6 | ![]() |
| 図表7 | ![]() |
| 図表8 | ![]() |
| 図表9 | ![]() |
| 図表10 | ![]() |
| カテゴリ | 品種 |
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