| タイトル | エゾヤチネズミ個体数変動の特徴 |
|---|---|
| 担当機関 | 森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
齊藤 隆 |
| 発行年度 | 1998 |
| 背景・ねらい | エゾヤチネズミ(Clethrionomys rufocanus)をはじめとするハタネズミ類の個体数は年毎に大きく変動する。それに伴って造林木や農作物などを食害するため、欧米を中心に古くから注目、研究されているが、個体数変動の機構についてまだ定説がない。その理由の一つには個体数変動に関する長期間のデータが不足していることが挙げられる。北海道においては、林野庁が中心となり、エゾヤチネズミの防除計画を立案するために1950年代から個体数調査(発生予察調査)が全道的に行われ、30年間以上にわたるデータが蓄積されている。この研究の目的は、このデータを個体群生態学的に解析し、エゾヤチネズミの個体数変動の基本的な特徴を把握し、変動機構について分析することである。 |
| 成果の内容・特徴 | 北海道営林局管内の発生予察調査資料を森林事務所ごとに整理し、データに欠落のない225個体群(森林事務所を単位とする)について、個体数変動の基本的な特徴である密度依存性、周期性、振幅などについて解析した。 エゾヤチネズミ個体群は大きくは変動するものの、基本的には高密度になれば減少し、低密度になれば増加するという密度に依存した変動様式を持っており、前年の密度に直接的に反応する直接の密度依存性と前々年の密度の影響を受ける遅れの密度依存性という二つの密度依存性が認められた。直接の密度依存性は道南の渡島半島部を除いてほとんどのエゾヤチネズミ個体群(80%から100%)で検出され、遅れの密度依存性が見られた個体群は5%から22.6%と少なかった。直接の密度依存が普遍的で遅れの密度依存が少ないというエゾヤチネズミ個体群の特徴は、両方の密度依存性を強く示す森林性の昆虫個体群や遅れの密度依存性強く示す北欧の野ねずみ個体群と違うので、異なる変動機構を持つと考えられた。エゾヤチネズミが強く示した直接の密度依存性は、社会的な相互作用によって生じることが多い。また、野ねずみの個体数変動にすぐに反応して餌動物を代えるキツネなどの捕食者の影響を受けているためだ、とも考えられた。 エゾヤチネズミ個体群は、北海道の北部、東部に向かうほど激しく変動する傾向があった(図1)。また、変動が激しい個体群では、遅れの密度依存性が検出されやすく、3~4年間隔の周期性も顕著だった。周期変動を表す指数に基づいて、周期変動を示す個体群が見られる地域(北東部)と不規則で比較的緩やかに変動する個体群が多い地域(南西部)に区分することができた(図2)。北海道は、西部は暖流、東部は寒流の影響を受けるため、北部、東部に向かうほど寒冷になる傾向があり、寒冷な地域ほど個体数の変動が激しくなると考えられた。気候条件は繁殖期間などに大きく影響するので、個体数変動、気候条件、繁殖生態の3者間に密接な関係があることが示唆された。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 図表5 | ![]() |
| 図表6 | ![]() |
| 図表7 | ![]() |
| 図表8 | ![]() |
| 図表9 | ![]() |
| カテゴリ | 病害虫 繁殖性改善 防除 |
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